そいつの名前は……
僕が帰宅すると玄関に夏樹(僕の実の妹)がいた。
「あっ、お兄ちゃんおかえりー」
「ただいま」
「お兄ちゃん、お母さんの伝言あるよー」
「そうか。はぁ……吉報じゃないんだろうなー」
「正解。じゃあ、伝えるね。『もうすぐ文明を破壊するのが大好きな存在が現れるから気をつけてね』だって」
ええ……。
「そうか。で? それはいつ現れるんだ?」
「さぁ? いつなんだろうね」
「もうすぐ……うーん、一週間以内かなー?」
「まあ、それくらいだろうねー」
「だよなー。まあ、とりあえず何が現れても対処できるようにしておくよ」
「そんなことできるの?」
「まあ、できなくはないな」
「そっか。でも、万が一、お兄ちゃんでも苦戦するやつが現れたら私を……私たちを頼ってね。約束だよ」
「ああ、分かった。じゃあ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
ステラ、もしもの時はみんなのこと守ってやってくれ。
やだ。
頼むよ。
私、パパがいないと生きていけない。だから、自分を犠牲にしようとしないで。もっと自分のこと大切にして。
ステラ……。分かった、そうするよ。
約束だよ。絶対守ってね。
分かってるよ。はぁ……せめてやつの情報が分かればいいんだが。
私、知ってるよ。
え? それホントか?
うん、ホントだよ。私の一族が滅んだのはだいたいそいつのせいだから。
そうか。じゃあ、まずそいつの名前から教えてくれ。
うん、いいよ。えっとね、そいつの名前は……。




