かまぼこ
座敷童子の桜子の人生設計を補助したらいつのまにか彼女に懐かれていた。
「いやあ、雅人くんの手料理おいしいなー。ねえ、毎日ここに来てもいい?」
「僕は別にいいけど夏樹と童子はどうかな?」
「……もうお兄ちゃんにあんなことしない?」
「あんなことってなあにー?」
「お兄ちゃんのハートを物理的に貫いたことだよ」
「しないよー。というか、あれでノーダメの時点で私に勝ち目なんてないよー」
「そっか。じゃあ、いいや」
「本当? やったー」
「あなたが愛用している妖怪を排除できる弾丸でも無理なんですか?」
「童子ちゃん、雅人くんは星の王なんだからこの世から消したら大変なことになるよー」
「それは知っています。私が知りたいのはそれで雅人さんに致命傷を与えられるかどうかです」
「うーん、多分無理だね」
「なぜですか?」
「うーんとねー、あれは妖怪の魂を分解できるものなんだけど、雅人くんはこの星と同化しつつあるから傷つけることはできても致命傷にはならないんだよ」
「そうですか。分かりました。では、お礼に私のかまぼこをあげます」
「わーい! やったー! ありがとう! 童子ちゃん」
「どういたしまして」
「ん? 桜子はかまぼこが好きなのか?」
「うーん、なんというか、かまぼこになるまでの工程が好きだからそれをイメージしながら食べるとおいしいんだよ」
「お、おう、そうか」
そうかー。工程が好きなのか。珍しいな。




