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山姥の住処

 雅人まさとさんは星の王なのに学校に行っている。星の王は文字通り星の王だから勉強なんかしなくても必要な知識は手に入れられるしオリンピックとやらに出たら全種目金メダル間違いなしだし、それに何よりこの星の未来は常に彼の手の中にある。だから、この星を存続させる理由がなくなればいつでもこの星を破壊できる。だが、彼はそれをしようとしない。今すぐ破壊してもいいレベルなのに。なぜだろう。


「なぜ雅人まさとさんはこの星を破壊しないんですか?」


夏樹なつきがこの世界で生きているからだよ」


「え?」


「僕の妹は昔からよくからかわれてたんだよ。後頭部に口があるのはおかしいって」


「は、はぁ……」


「でもね、夏樹なつきは不登校になっても自分をからかったやつらに何もしなかったんだよ。力を使えば一瞬で殺せるのに」


「ほ、ほう」


「ある日、僕はそのわけを夏樹なつきたずねたんだけど、なんて言ったと思う?」


「さ、さぁ?」


「どうせ、一世紀以内に死ぬやつらを殺すよりそいつらよりずっと長生きして幸せに暮らしたい、だってさ」


「なるほど。あなたの妹は放置を選んだのですね」


「ああ。まあ、そいつらはもう全員死んでるんだけどね」


「え?」


「あっ、僕は何もしてないよ。そいつらが山姥の住処をめちゃくちゃにしたのが悪いんだから」


「あなたはその時、そいつらを助けられたんじゃないんですか?」


「まあ、一応その時現場にいたけど、あれはダメだね。分かりやすく言うと全員他人の家に勝手に入って家の中をめちゃくちゃにしてたから」


「あー、それは仕方ないですねー。あっ、もしも、そいつらに前もってそのことを教えていたら結末は変わっていたと思いますか?」


「ラブリン、君は異星人だから分からないかもしれないけど、世の中には分かっていてもそういうことをして命を落としてしまうやつらがいるんだよ」


「あー、だからこの星の文明レベルは年々下降してるんですね」


「まあ、やろうと思えばそういうやつらをゼロにできるけど、そいつらの肉を食べたい妖怪が少なからずいるからなかなか難しいんだよねー」


 屋上に吹いている風が少し冷たい。うーん、少し曇ってきたな。そろそろ教室に戻ろう。

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