表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1185/1940

大磯撫で

 今日は『磯撫で』を狩る日だ。一般人は何も知らないためできるだけ早くやつを狩らなければならない。


「……おはよう」


「おー! 影女じゃないか! よく来たな!!」


「……行けたら行くって言ったから」


「それ、だいたい行かないやつが言うセリフなんだけど、どうやら君は違うみたいだね」


「……あなたがケガしないかどうか不安だから来た」


「え? なんだって?」


「……なんでもない。それと、もうすぐやつが目を覚ますからそろそろ準備しておいた方がいいと思う」


「あー、そうなのか。よし、じゃあ、とりあえず『闇船やみぶね』を作ろう」


 僕は人間の闇で船を作った。まあ、船といっても人が二、三人乗れるくらいの小さな船だが。


「よし、あとはこのまま海に出るだけだな」


「……待って。私も連れてって」


「君はここにいてくれ。危ないから」


「……やつは私の同類だからなんとなく気配が分かるの。だから」


「足手まといにはならない、か。分かった。じゃあ、一緒に行こうか」


「……うん」


 無事に帰れるといいなー。


「……えーっと、結構いるな」


「……うん」


「これ、全部『磯撫で』……なのか?」


「……うん」


「……マジかー」


 まいったな。狩りに来たのに逆に狩られそうだ。まあ、こっちには優秀な索敵係がいるから問題ないけど。


「……一、十一、二匹ずつ」


「はいよー」


 影女は海面に近づくまでどんなレーダーにも引っかからない妖怪が来る方角と数を教えてくれる。いやあ、ありがたいなー。


「……三、十、一と三」


「了解。いっておいで『闇銛やみもり』」


 人間の闇でできている銛が磯撫での体を貫く。よおし、タイミングばっちり。今のところ負ける気がしないな。今のところは。


「……そろそろ大きいのが来る」


「そうか」


 昨日、サメ映画見たからなんかもう何が来ても「まあ、そういうサメなんだろう」と納得してしまいそうな自分がいる。


「……正面! 来る!!」


「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 やつは僕たちにその姿を見せつけるように飛び跳ねた。うーん、これはもう妖怪というかモンスターだな。


「……えーっと、なんで体中にサメの頭が生えてるんだ?」


「……うーんと、その方が獲物を捕まえやすくなるからじゃないかな?」


「いやいや、絶対ケンカするだろ。進行方向決める時とか獲物を誰が捕まれるかで」


「……それは多分早いもの勝ち」


「まあ、そうだろうな。でも、多分今日は全員息ぴったりだな」


「……どうして?」


「星の王である僕を食べれば確実に強くなれるからだよ。そうだよな? 大磯撫で」


「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 さあて、どうやって倒そうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ