私は……あなたたちを……許しません
次の日、ウニ娘は近所の不良たちを相手にしていた。
「どうして……どうして私を殴るんですか! 私、あなたたちに何かしましたか!!」
「どうして? そんなのてめえが俺たちの弟に手を出したからに決まってんだろ!!」
「先に手を出したのは私じゃありません!!」
「知るか! やっちまえ!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
数が多すぎる。覚醒しても子どもの私じゃ、この数を一気に倒せる兵器は出せない。あっ、そうだ。
「ん? なんだ? それは。防犯ブザーか?」
「怯むな! 鳴らしてもすぐ壊せばいい!!」
「そうだ! やっちまえ!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
お願い……助けて!!
私がボタンを押すと星の王が現れ、不良たちを見えない何かで吹っ飛ばした。
「群れで襲えば勝率は上がるが、それでも勝てない相手が現れた時、群れは崩壊し敗北する。だから、群れればなんとかなるって思うのは今日限りでやめた方がいいぞ」
「げっ! 雅人だ!」
「ほ、本当だ! 雅人だ!!」
「な、なんだと! だが、なぜやつがこんなところにいるんだ?」
「そんなこと知らねえよ! 全員今すぐ逃げろ!!」
残念。それは僕がここに来た時点で不可能だ。
「全員その場で気をつけ!!」
「な、なんだ!」
「か、体が勝手に!!」
「くそ! なんだ! これ!!」
「やべえ、やべえよ……」
「や、やめてくれー! 殺さないでくれー!」
星の王になるとこの星のことなら思い通りにできる力を得ることができる。まあ、言霊や文字の力の最終形態みたいなものだ。
「殺しはしないよ。でも、この娘に今すぐ謝らないとここにいる全員病院送りにするよ」
『すみません! もうしません! だから許してー!!』
「泣くなよ。どっちが悪者か分からなくなるから。で? どうする? 僕ならこいつらの存在を今すぐ消せるよ」
「私は……あなたたちを……許しません」
お、終わった……。
「なので死ぬまで今日のことを忘れずに生きてください。それができない人は私の養分になってもらいます」
『よ、養分?』
「分からないのか? ここにいる全員ウニ娘に食べられる可能性があるってことだよ」
『これからは真っ当な人生を送ります! なのでどうか食べないでください!!』
「だってさ、どうする?」
「そうですねー。一応、ここにいる全員の体に私のトゲを刺しておきましょうかね」
「それはいいね。たしか約束を破ったらトゲが心臓を貫くんだっけ?」
「はい、そうです。まあ、ここにいる全員根はいい人ばかりだと思うので大丈夫だと思います」
「だといいねー」
あー、ダメだ。二人とも俺たちのことを疑ってやがる。
「よし、じゃあ、まずはリーダーの体に刺そうか」
「そうですね。あー、そんなに怖がらなくてもいいですよ。全然痛くありませんから」
「や、やめろ! やめてくれ! く、来るな! 来るなー!」
このあと、全員の体にウニ娘のトゲが刺さった。さて、あと何日生きられるかなー。
「ねえ」
「何ですか?」
「君、女優志望だったりする?」
「さぁ? どうでしょう」
「そうか。じゃあ、なんでリーダーに刺したトゲ以外全部GPS機能がついてるトゲだったの?」
「一人死ねば恐怖は自然と伝染するからですよ」
「うわあ、まだ子どもなのに腹黒いねー」
「そう言うあなたも真っ黒なんでしょ?」
「さぁ? どうだろうねー」




