いや、まあ、なんというか、今日からこの星の王になったんだよ
私が人魚姫と人魚姫の護衛たちと共にお兄ちゃんがいる場所までやってくるとそこにはたくさんの赤ん坊がいた。
「何、これ……」
「かわいいでしょー。これ、ぜーんぶ私と雅人の子どもだよー」
「あんた、誰? というか、お兄ちゃんはどこにいるの?」
「さぁ? どこでしょう」
「ふざけないで!!」
「あんまり大きな声出さないでよ。みんな泣き出しちゃうよ」
「アース、僕の妹は僕が絡むと感情的になりやすいって言っただろ?」
「あっ! 雅人ー! おかえりー!!」
おい、今すぐお兄ちゃんから離れろ。お兄ちゃんは私のだ。
「夏樹、目が怖いぞ」
「お兄ちゃん、これどういうこと?」
「いや、まあ、なんというか、今日からこの星の王になったんだよ」
「ちょっと待って。今からお兄ちゃんの体内にある私の髪に色々質問するから」
「分かった」
数分後、夏樹(僕の実の妹)はゆっくりと口を開いた。
「だいたいの事情は分かったけど、だからってこんなにたくさん子どもいるの?」
「カプセルに入ってる時間を短くするには子どもをたくさん作って少しでも負担を分散させるしかないんだよ。それにこの娘たちは全員僕とアースの力を合体させるだけで作れるから一秒に五人くらいは作れるよ」
「そう。ということはまだお兄ちゃんは誰ともそういうことしてないんだね?」
「まあ、そうなるな」
「そう。なら、いいや。お兄ちゃん、早く帰ろう」
「ああ、そうだな」
「待って! 私を一人にしないで! 私も一緒に連れてって!!」
「待て。この娘たちの面倒は誰が見るんだ?」
「大丈夫。みんなー! カプセルに入った後、そこのトンネルに入ったら私たちのいる場所まで来られるよー! あとこっちまで来たら今日はもう寝ていいよー!!」
『はーい!!』
「すごいな、もう返事できるようになったのか」
「まあねー。それに基本的にケガしないし、痛覚もないからよっぽどのことがない限り暴れることはないと思うよ」
そうなのか……。
「心配だなー。一応、監視してもらうか」
「誰に?」
「僕の幼馴染の目に」
「あー、うーん、一応お願いしておこうかなー」
「分かった。じゃあ、行こうか」
「うん!!」
事情を知らない海の民は僕や夏樹が詳細を話すまでずっと疑問符を浮かべていた。




