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反省する? しない?

 夜……とある川の上流……。


「先輩! 聞いてた話と違いますよ!!」


「違う? どこがだ? ゴミを集めてゴミ処理場まで運ぶだけの簡単なバイトだろうが」


「いやいや、これ不法投棄ですよ! しかも、こんなたくさん!!」


「うるせえな。いいからさっさと運べ。じゃないとバイト代出ないぞー」


「別にいいです! こんなことしてお金もらってもちっとも嬉しくありませんから!! ということで僕はこれで失礼します」


「はいはい、どうぞご自由に」


 ちっ、金に困ってるって言うから誘ってやったのにバカなやつだ。さてと、いつもの場所に捨ててとっとと帰るか。ん? おかしいな。このへんにあるはずのゴミの山がきれいさっぱりなくなってる。警察はこんなところに来ないだろうし、大学の同期でさえ、この場所を知ってるやつは少ない。ということは俺が知らない何者かがここに来てゴミを片付けたってことか。


「バカだなー。何度きれいにしようと俺たちみたいなのがいる限り、ここは一生ゴミ捨て場なんだよ」


「チッ、チッ、チッ」


「ん? なんだすずめか。まったく、おどかすなよ」


 最初は一羽しかいなかったが、俺がゴミを捨て終わると無数の雀たちが俺の周囲にいた。やつらはじーっと俺の方を見ている。それ以外は何もしてこないが気味が悪かったため俺は急いで川を下り始めた。


「な、なんで! なんでついてくるんだよ!!」


 やつらは「チッ、チッ、チッ」と鳴きながら俺を追跡している。こいつらまさか妖怪か!!


「く、くそ! これでもくらえ!!」


 俺はそのへんにあった石を雀に向かって投げた。石は雀に命中したが、不思議なことにその石は砕けてしまった。


「ば、化け物め!!」


「化け物?」


「化け物だってー」


「化け物に化け物って言われたー」


「ねえ、隊長。こいつ、やっちゃっていい?」


「ダメだ。生け捕りにしろ」


「えー」


「だが、改心する気がないようならその場で処理して構わないそうだ」


「そっかー」


「いいこと聞いたー」


「えっと、つまり、どういうこと?」


「人間さんが反省しなかったら食べていいんだってー」


「本当? やったー」


「人間さん、どうする? 反省する? しない?」


「お、お前らなんか怖くねえぞ!! 全員焼き鳥にしてやる!!」


「そっかー」


「やったー。今日はごちそうだー」


『じゃあ……さようなら』


 川姫が何かに気づき、足を止める。


「おい、雅人まさと。お前、まさか夜雀警備会社に依頼したのか?」


「さぁ? どうかな」


「お前は一応元人間だろう? その……抵抗とかないのか?」


「うーんと、腐ったミカンはもうミカンじゃなくてミカンだったものなんだよ」


「あー、なるほど。なら、もう処理するしかないな」

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