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あっ、川男だ
暇だなー。たまには川にでも行ってみようかな。
「あっ、川男だ。最近、どう? 何か異常はないかな?」
「……特にないね」
「……うん、ないね」
「そう。なら、いいんだけど」
『……あっ』
「ん?」
「……いや、なんでもない」
「……なんでもない」
「本当? 言える時に言っておいた方がいいと思うよ。僕、たまにしかここに来ないんだから」
「……そうか」
「……えっと、最近、魚たちの様子がおかしいんだ」
「なるほど。えっと、それはいつ頃そうなったの?」
「……うーんと、たしか」
「……数日くらい前だよ」
「そうか。うーん、もしかすると川の水に問題があるのかもしれないね。教えてくれてありがとう。ちょっと川の上流まで歩いてみるよ」
『……ああ』
川男は基本的に川の近くに座っている。川に異常があると自分の体のように察知できる能力がある。だから、川のことは川男に訊けばだいたいのことは分かる。
さてと、じゃあ、行きますか。僕は川の上流までテクテク歩いていった。何事もないといいなー。




