ただいま、お父さん
うーん、結局少し先の未来からやってきた僕の娘はいったい誰と誰の娘なんだろう。僕が歩きながらそんなことを考えていると彼女はゆっくりと口を開いた。
「やっぱり気になりますか?」
「ああ」
「そうですか。ですが、これだけは言わない方がいいんです」
「どうしてだ?」
「知ってしまったらもう知る前には戻れないからです」
「そうか。そうだな。分かった。もうそのことについて詮索はしないよ」
「ありがとうございます。お父さん」
「いや、だから、外でお父さんって呼ぶのは」
僕が最後まで言い終わる前に僕は彼女の異変に気づいた。少しずつだが彼女の体が光の粒となって消えていく。
「はぁ……楽しい時間はすぐ終わっちゃうな」
「そうですね。でも、私は今日のことを一生忘れません。では、さようなら、お父さん」
彼女はそう言いながらニッコリ笑う。
「ああ」
僕が返事をすると彼女はスーッとその場からいなくなった。あまりにも突然のことだったため、僕は少し困惑していた。
「突然すぎてどう反応したらいいのか分からないなー」
僕が独り言を言うとそれに反応した者がいた。
「そうですか。でも、私はそれでいいと思いますよ」
「き、君は!!」
「ただいま、お父さん。いえ、お兄様」




