はい♪
未来に僕の娘は何人いるんだろう。僕が歩きながらそんなことを考えていると少し先の未来からやってきた僕の娘は僕の顔を見ながらこう言った。
「たくさんいますよ」
「え?」
「あなたの娘はたくさんいます」
「えーっと、だいたいの数を教えてくれると助かるんだけど」
「十人以上いるのでたくさんです」
「あー、うん、分かった。えっと、息子はいないのか?」
「いません」
「え?」
「あなたの子どもはなぜかみんな女の子なんですよ。不思議ですよね」
「不思議というか、とある周期に出始める男性ホルモンのシャワーを浴びないようにすればいいだけだから、みんなどうにかしてそれを遮断してるんだろうな」
「いえ、特に何もしていません。まあ、正確には胎児以外ですが」
「何? じゃあ、僕の子どもはみんな……」
「はい。なぜかそのシャワーを反射、遮断、消去、破壊などでそれを浴びないようにしています」
「どうしてそんなことするんだ?」
「決まってるじゃないですか。あなたとの子どもを作るためですよ」
「ちょ、ちょっと待て! それが本当なら僕との間に一度でも子どもができたらもう二度と男の子が生まれなくなるってことじゃないか!!」
「まあ、そうなりますね」
「そうなりますねって、未来の男女比はいったいどうなっているんだ」
「そんなのどうだっていいじゃないですか。ほら、自分のコピーを作るためにしぶしぶオスと交尾するダニだっているんですから」
「進化……いや、もうそれは呪いだよ。ところで僕は誰かとそういうことをしたのか?」
「いいえ、まだ誰ともしていません」
「そうなのか。けど、娘はたくさんいると……」
「はい♪」
「未来の僕は何をやっているんだ……。そんなに増やしたら国ができるぞ」
「ありますよ」
「え?」
「ありますよ、あなたの国」
「く、国!?」
「はい。まあ、みんながそう言っているだけですが」
「そうか。いやあ、なんか色々とすごいことになってるな」
「はい。まあ、他にも色々ありますが、これ以上は自分の目で直接見てください」
「分かった」
未来はかなりすごいことになってるんだな。まあ、この娘がいるってことはどうにかなってるんだと思うけど。
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。あなたはこの星の王になる存在なのですからドーンと構えていればいいのです」
「そう、なのか?」
「はい、そうです。まあ、正妻戦争の方は日に日に規模が大きくなっているのですこーし厄介ですが」
「そうか。分かった。ありがとな、色々教えてくれて」
「どういたしまして」




