妖怪ハンター
俺は妖怪ハンター。どんな妖怪も俺の前では赤子同然。なぜなら俺には妖気を分解する能力があるからだ。おっ、広場にものすごく高く売れそうな妖怪がいるな。よし、早速捕まえよう。
「よし、とりあえず結界発生カプセルを投げるか」
俺がそれを投げるとやつは俺の視界からいなくなった。おかしい。さっきまで噴水の近くにいたはずなのに。
「知っていますか? 妖怪ハンターは大きく二種類に分けられるんですよ。それが何なのか分かりますか? 自分と獲物の力量差が分かるものと分からないものです。そして、あなたは残念ながら後者です」
「ま、待て! 俺はまだ今月のノルマを達成していないんだ! だから!!」
「あなたは自分の背後にいるのが誰なのか知っていてそんな見え見えの嘘をついているのですか?」
「な、なんだ? お前、いったい何なんだ!!」
「あなたにそれを知る資格はありません。今すぐ私の前から消えてください。そうすれば今回だけ見逃してあげます」
「わ、分かった! 言う通りにする! だから命だけは!!」
命があれば何度でもトライできる。そうだ、次だ。次は絶対にハントしてやる!!
「うーん、そうですねー。じゃあ、私のお父さんが買ってくる飲み物の名前を当てられたら見逃してあげます」
「な、何?」
「嫌なら今すぐあなたを殺します。いや、殺すというより転送すると言った方がいいですね。で、どうします?」
「や、やる。やるよ。やらせてくれ」
「分かりました。まあ、あなたに勝ち目はないんですけどね」
「……え?」
彼女の父親(?)が買ってきたペットボトルの中には今まで見たこともない虹色が濁ったような色の液体が入っていた。
「な、何なんだ! これは!!」
「妖怪にしか飲めない飲み物です。ちなみに妖怪以外が飲むと体が溶けます。ということで、あなたは今日ここで死にます。さようなら」
「ま、待て! やめろ! やめろー!!」
「無理です。来世に期待してください。では、さようなら」
「うわああああああああああああああああああああああ!!」
「……えっと、なんで無人の空間に飛ばしたんだ?」
「あそこには人はいませんが、人ではない何かがうじゃうじゃいますからね。そこで少しは狩られる側の気持ちを知ってもらえればと思い、転送しました。まあ、何秒生きられるかは知りませんけど」
「そういうの未来の僕は平気でやってるのか?」
「どうしようもない人間にはやっていますよ。まあ、年に数回まとめて送っているのでそのうち世界から人間がいなくなるかもしれませんが」
「多分増える方が早いと思うぞ」
「だといいのですが」




