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背伸び
正妻戦争。それは少し先の未来で起こる戦争のことである。勝者は僕の正妻になることができ、敗者は必然的に側室になる。
「君はそれを止めるためにわざわざここまで来たのか?」
「いえ、違います。私はただ、それを言いに来ただけです。それ以上のことをするつもりはありません」
少し先の未来からやってきた僕の娘はそう言うと大きく背伸びをした。
「それにしても今日はいい天気ですねー。ねえ? お父さん」
「外であんまりお父さんって呼ばないでくれ。近所の人たちに変な目で見られるから」
「そうですね。では、お兄様と呼びますね」
「お、おう、分かった」




