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私にもマッサージしてー

 陽菜ひなちゃん、マッサージ中ずっと寝てたなー。そんなに気持ちよかったのかな? まあ、いいや。


「ねえねえ、雅人まさとくん。私にもマッサージしてー」


「え? 葉月はるなさんもですか?」


「何ー? 嫌なのー?」


「いえ、そういうわけでは」


「じゃあ、何なの?」


「いや、その……死んでも疲労を感じるのかなーと」


「たしかに私は一度死んだけど、今は隙間女として生きてるから疲労は感じてるよー。少し」


「少し?」


「うん、まあ、普通の人間なら絶対できない体勢とか動きができるから自分の体は自分でほぐせるんだけど、やっぱり誰かにやってもらった方が気持ちいいから、ね?」


「分かりました。じゃあ、そこのソファに横になってください」


「はーい! あっ、一応言っておくけど、変なところ触っちゃダメだよ」


「もし触ったらどうします?」


「地球に存在する隙間を全部埋める!!」


「やめてください」


「冗談だよー。でも、君がもし私の妹に手を出したら私君に何するか分からないよ」


「中学生に手を出す顔に見えますか?」


「見える。でも、安心して。君に限ったことじゃないから。みんなにその可能性はあるから」


「みんな、ですか」


「そう。老若男女、全て……。あっ、でも、君は他の人たちとはちょっと違うみたいだから少しだけ安心してるよ」


「そうなんですか?」


「うん、だって君まだ童貞でしょ? 娘いるけど」


「ええ、まあ」


「だから、少しだけ安心してるんだよ。まあ、でも、ここからどうなるのかは君がいつ、どこで、誰ので大人になるのか次第かなー」


「はぁ、まあ、その時はお姉さんの主観にお任せしますよ」


「言われなくてもそうするよー。あっ、もう始めていいよー」


「はい、分かりました」


 姉の方は油断できないな。妖怪になっても平然としてるし、まあ、自力で妖怪になれた時点ですでにおかしいか。


「あー、気持ちいい……おやすみなさーい」


「はい、おやすみなさい」


 でも、こういうところは姉妹なんだよなー。

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