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葉月ちゃんと陽菜ちゃん

 水が上から下に流れるように隙間女と少々おつむがアレな中学二年の女子がうちに居候することになった。あっ、そういえば、二人の名前まだ知らないな。


「あのー」


「なあにー?」


「何ですか?」


 ありゃりゃ、どっちも反応したよ。うーん、まあ、いいや。


「いや、二人の名前ってなんていうのかなーと思って」


「あー、そういえば、そうでしたね。えーっと、姉が」


「『姫百合ひめゆり 葉月はるなー!!」


「で、私は『姫百合ひめゆり 陽菜はな』です」


「そうか。あっ、僕は『山本やまもと 雅人まさと』。で、こっちが妹の夏樹なつきだ」


「……よろしく」


 夏樹なつき(僕の実の妹)、二人のこと警戒してるな。まあ、そのうち仲良くなるだろう。多分。


「よろしくねー!」


「よ、よろしくお願いします」


「敬語使わなくていいよ。今日から一緒に住むんだから」


「わーい、やったー」


「あんたには言ってないわよ」


「あっ、そうなのー? ごめんね、夏樹なつきちゃん」


「気安く私の名前を呼ばないで」


「じゃあ、なんて呼べばいいのー?」


「……必要な時は名前で呼んでいいよ」


「わーい! やったー! ありがとう! 夏樹なつきちゃん!!」


「はいはい。あんたのお姉ちゃん、いつもこうなの?」


「え? あー、うん、そうだよ」


「そう。だから、あなたは真面目なのね」


「そ、そんなことないよ!」


「そうなの?」


「う、うん」


「でも、あなたはそのせいでいつも肩に力が入ってる。ねえ、お兄ちゃん」


「なんだ?」


「この子にマッサージしてあげて」


「え? いいのか?」


「うん、いいよ。じゃないとこの真面目バカはいつまで経ってもカチコチのままだから」


「ま、真面目バカ!?」


「あー、まあ、そうだねー」


「お姉ちゃん! そこは否定してよ!!」


「えー、なんでー? ホントのことだから無理だよー」


「そ、そんなー」


「えっと、僕は別に構わないんだけど、陽菜ひなちゃんはどうかな?」


「え? あっ、えっと、わ、私は……」


「やってもらいなよー。あっ、その次私ねー」


「お前はダメだ」


「えー、そんなー。別にいいじゃん」


「ダメだ」


「えー」


「で? どうする? 今日は時間あるから全身できるよ」


「じゃ、じゃあ、お願いします」


「ホントに? 夏樹なつきやお姉さんに言われたからっていう理由なら今すぐ断れるよ」


「いえ、別にそういうわけでは」


「そうか。じゃあ、そこのソファに横になってくれ」


「わ、分かりました」


 ということで今日から『姫百合ひめゆり 葉月はるな』と『姫百合ひめゆり 陽菜ひな』が同居することになった。さてと、じゃあ、まず妹の方から仲を深めていこうかな。

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