分かりたくありません
次の日……昼休み……屋上……。
組織に乗り込んだらいきなり頭を撃たれてびっくりしたけど、人間の闇が組織に所属してる人たち全員食べてくれたから死なずに済んだなー。
僕がそんなことを考えていると昨日の依頼人がやってきた。
「こんにちは。あの、何から何までありがとうございます」
「何のことかな?」
「とぼけないでください。姉から全て聞いたので私はもう昨日までの無知な私ではありません」
「そっか。じゃあ、一つ質問するね。君のお姉さんはー、君のことがー」
「死んでも好き」
「正解。そしてなおかつ君のお姉さんはー」
「私の幸せのためならなんでもする良くも悪くも重度のシスコン」
「正解。さらに君のお姉さんは基本的にー」
「男性が嫌い」
「正解。えっと、これで昨日僕が君のプロポーズを断った理由が分かったかな?」
「分かりたくありません」
「え?」
「昨日は色々ありましたけど、私はやっぱりあなたのことが好きです。年の差とか種族とかそういうのはどうでもいいんです。誰がなんと言おうとこの気持ちは本物で今も私の中で元気に動いているんです。だから……」
「お姉ちゃんは許しません!!」
「この声は……お姉ちゃん!?」
「その通り! 世界で一番妹を愛している唯一無二の存在、それがこの私、あなたのお姉ちゃんです!!」
「お姉ちゃん、どこ? どこにいるの?」
「手を合わせると少なからず隙間ができるからそこを覗けばきっと見えるよ」
「な、なるほど。あっ、いた!! お姉ちゃん! なんでいるの?」
「なんでって妹がここにいるからだよー」
「はぁ? 意味分かんない。とにかく私の恋路を邪魔しないで」
「邪魔はしてないよ。私はただ妹の将来が心配なんだよー」
「隙間女になってまで口出ししないで!!」
「それはちょっと無理かなー」
「どうして?」
「妹のおつむが残念だから」
「うっ……! そ、それは……」
「それにその人、人間じゃないでしょ?」
「うん、そうだよ。だから、何?」
「結婚は同じ種族でやった方がいいわよ」
「どうして?」
「生まれてくる子どもが異形だったらどうするの? というか、育てられる自信あるの?」
「お姉ちゃんはいつもそうだよね。私が頼んでもないのに色々言ったりやったりする。私は昔からお姉ちゃんのそういうところ大嫌い」
「知ってるよ。でも、そんな妹のこと私は大好きよ」
「気持ち悪い。死んでも私に執着するなんて」
「面倒見がいいと言ってほしいなー」
「いいお姉さんだね」
「どこがですか!!」
「たしかにちょっとやりすぎかなーとは思うけど、そこまでするのは君が一番大切な存在だからだよ」
「その通り! だから、結婚の話はなかったことに」
「しないよ。絶対に」
「もうー、頑固なんだからー。うーん、でも、もうあの家には私とあなたしかいないからお姉ちゃんちょっと心配だなー。あっ! そうだ!! ねえ、そこの君」
「ん? それって僕のことですか?」
「うん、そうだよー。あのねー、君とうちの妹の結婚は今のところ認められないけど、私実は君にちょっと興味あるの。だからね、しばらくの間、私と妹を君の家に住まわせてくれないかなー?」
「そ、そそそ、それって、私とお姉ちゃんがしばらくの間、こんな素敵な人と、どどどどどど、同棲するってこと!?」
「うん、そうだよー。何? 嫌なの?」
「嫌じゃないよ! むしろ大歓迎だよ!! あっ、でも、迷惑ですよね。こんな存在自体が地雷の姉とおつむが小学生以下の私なんかがいたら」
「別にいいよ」
「そうですよね、やっぱりダメですよね……って、今なんて言いました?」
「別にいいよって言ったんだよ。で? どうする?」
「断る理由は微塵もありません! 今日からよろしくお願いします!!」
「そうか。分かった」
「うちの妹が異性に頭を下げるなんて……君はいったい何者なの?」
「さぁ? 何なんでしょうね」
うーん、怪しい。というか、ロールキャベツかもしれないから要注意ね。
「まあ、これからよろしくねー」
「はいー」
うん、なんか、なんとなくこうなると思ってたよ。




