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内緒かー

 放課後、僕が百鬼部の部室に行くと依頼人がソファに座っていた。


「早いね」


 僕がそう言うと彼女はスッと立ち上がった。彼女は僕の目の前まで歩み寄ると僕の両頬に手を添えながら背伸びをした。


「な、何かな?」


「あっ、すみません。写真よりも神々しかったので、つい」


「そうか。じゃあ、そろそろ離れてくれないか?」


「はい、分かりました」


 彼女はソファに座るとセミショートくらいの黒髪を学生かばんから取り出した手鏡を見ながら指で整えた。彼女は手鏡を学生かばんの中にしまうと僕の顔を見始めた。今時の中学二年生ってこれくらい身だしなみを気にするのか。まあ、女子は男子より早く大人になる傾向があるからこれが普通なんだろうな。


「えっと、じゃあ、まず名前と依頼内容を」


 僕が最後まで言い終わる前に彼女は僕に一通の手紙を差し出した。


「えっと、これは……」


「ラブレターです」


「……えっと、これ、もしかして僕宛てなのかな?」


「はい、そうです。一応、手紙にも書いてありますが、私はあなたのファンです。そしてあなたのことを愛しています。なので私と結婚を前提にお付き合いしてください」


 うーん、困ったなー。高校生ならまだしもこの子まだ中学生だからなー。というか、この子今彼氏いるはずなのによく告白できたな。あっ、もしかして昨日のメールの内容は全部嘘で今の彼氏と別れたいから僕に告白したのかな? それともドッキリか何かなのかな? まあ、いいや。とりあえず返事をしておこう。


「やめた方がいいよ。人間をやめた僕と人間の君とじゃ、きっと幸せにはなれないから」


「そうですか。では、私も人間をやめます。ということであなたの血をほんの少しだけください」


「どこで知ったの? その情報」


「内緒です」


 内緒かー。そうかー。

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