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見知らぬ少女

 放課後、僕がスーパーに向かっていると見知らぬ少女とすれ違った。黒い着物を着ている少女はまるでベルトコンベアの上に乗っているかのように前進している。まあ、どこからどう見てもそうとしか言いようがないのだが。


「……ねえ、そこのお兄さん」


 彼女は僕の制服の袖をつかみながら僕にそう言った。迷子かな? うーん、まあ、いいや。とりあえず返事をしよう。


「何かな?」


「私のこと知ってる?」


 うーん、知らないなー。見たことも聞いたこともないなー。


「いや、知らないな」


「そう……。じゃあ、今から教えてあげるね」


 彼女が僕の手を握ると僕の頭の中にたくさんの命が散っていく映像が流れ始めた。それは僕が人間の闇の管理者になってから毎日必ず一度は目にしている映像だった。


「な、なんだ!? これ!! 君はいったい……」


「ふふふふ……知りたい?」


「ああ。でも、その前に手を離してくれないか? 見たくないものを長時間見せられるのはすごく苦しいから」


「分かった」


 彼女は僕の手を離すとニッコリ笑った。


「お兄さん、少し私と似てるね」


「そ、そうかなー?」


「似てるよ。だって、今のでショック死しなかったんだから」


「……え?」


「冗談だよ。うーん、じゃあ、まず何から話そうかなー」


「あー、その、歩きながらでいいか? スーパーで買い物しないといけないから」


「うん、いいよ」


 彼女が僕に手を差し出す。僕は警戒しつつ彼女の手を優しく握った。


「また私に何かされると思った?」


「ああ。でも、僕にはあんまり効かないみたいだから別にいいかなって」


「そっか。お兄さん、なかなか度胸あるね」


「そうかな?」


「そうだよ。だって、過去と現在と未来に存在している死のエネルギーから生まれた私に直接触ってるんだから」


「……え?」

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