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お兄ちゃん、早く帰ろっ♡

 さあて、そろそろ寝ようかなー。ん? 待てよ? なーんか忘れてるような気がするなー。何かなー? 僕がそんなことを考えながら自室に入ると机の上に一通の手紙が置いてあった。

 あっ! 思い出した! 深夜に後輩からの手紙を読まないといけないんだった!! よし、読むか!!

 僕が手紙を開けると中には何も入ってなかった。しかし、その代わりに見覚えのある腕が僕の手首をつかんだ。


「なっ……! ちょ! う、うわぁー……!」


 僕はその腕に引っ張られ、手紙の中へと引き摺り込まれてしまった。


「はっ! こ、ここは! どこだ!!」


「こんばんにゃー」


「あっ! お、お前は! 下北しもきた 紗良さら!!」


「正解だにゃー。いやあ、成功してよかったにゃー」


「成功? 何の話だ? それとお前、前より猫化悪化してないか?」


「前者は先輩が手紙を開けたら私の部屋と先輩の部屋をつなぐゲートを出現させるっていう話で後者はそうでもないにゃー」


「何? そうでもないだと? どう見ても精神まで猫化してるじゃないか。お前、これで何度目だ?」


「大丈夫ですよ、先輩。私、意識はちゃんとありますから」


「あっ、ホントだ。でも、お前いつからそんなことできるようになったんだ?」


「分かりません。けど、放課後先輩の家で先輩にあんなところやこんなところを撫でてもらっていたので猫化は私の一部だと思えるようになりました。で、気づいたら猫化してる時でも意識を保てるようになりました」


「そうか。でも、あんな仕掛けどこで覚えたんだ?」


「先輩の家にはいろんな女性がいますからねー。何度も見ていたら自然と覚えました」


「そうか……。えっと、そろそろ帰っていいか?」


「ダメです」


「え?」


「先輩をうちにまねいたということは、つまりそういうことです」


「……? つまり、どういうことだ?」


「先輩は相変わらずにぶいですねー。そういうことというのは……交尾のことですよ」


「は? なんでそうなるんだ?」


「はぁ……あのですねー、女の子が好きな人をうちにまねくということは学校や外ではできないことをしてもいいってサインなんですよ。これ、テストに出ますよ」


 何のテストだろう……。国語かな?


「お、おう。で? お前は僕とその、交尾したいのか?」


「はい、そうです」


 即答かよ。


「いや、何でそうなる? 僕、お前に何かしたか?」


「してますよ! というか、あそこ以外、全部触ってるじゃないですか! これで付き合ってない方がおかしいですよ!」


「いや、別にそれでいいじゃないか」


「も、もしかして体だけの関係ってことですか!? 先輩、不潔です!!」


「いや、交尾したいと言い出したお前に言われたくないよ。えっと、僕たちまだ高校生だからさ、そういうのは高校を卒業してからでいいんじゃないか?」


「はぁ……分かってないですねー。先輩が卒業したら私一人になっちゃうんですよ!! 先輩はそれでもいいんですか!?」


「いや、学校ってそういうものだろ。僕が留年でもしない限り、お前はずっと僕の後輩だよ」


「そうですねー。じゃあ、私先輩の子ども産むので仲良く中退しましょう。これなら問題ありませんよね?」


「いや、大ありだ!! というか、目が猫になってるぞ! ちゃんと制御しろ!!」


「も、もう我慢できないにゃー! 先輩、私と交尾するにゃー!」


 猫化した紗良さらが僕に襲いかかると同時にものすごーく見覚えのある黒い長髪が彼女を拘束した。


「よう、発情期か? 紗良さら


「な、夏樹なつきちゃん!! どうしてここに!?」


「どうして? お兄ちゃんを助けるついでに少し霊力を使えるようになったからって調子に乗ってるお前をしに来ただけだ。さあて、どう料理してやろうか」


「ま、待って! これは違うの! 別に先輩を襲うつもりは」


「嘘をつくな!!」


「ひゃあ!!」


 夏樹なつき(僕の実の妹)は紗良さらの下腹部に手を伸ばすとパンツに手を突っ込んだ。


「や、やめて! 触らないで!!」


「触るまでもねえよ。はぁ……体は正直だなー、おい。お前、襲う気満々だったろ?」


「べ、別にそんなことないよ」


「へえ、じゃあ、どうしてこんなに……」


夏樹なつき! もういい! 皆まで言うな!!」


「先輩……」


「いいの? こいつ、ここで潰しておかないとまた同じことするよ?」


紗良さらは今までできなかったことができるようになってちょっと舞い上がってただけなんだよ。だから」


「バカは死んでも治らないよ」


「別に治すつもりはないよ。でも、少しずつマシにしていけばバカもかわいく見えてくると思うんだ」


「お兄ちゃんは甘いなー。でも、私好きだよ。お兄ちゃんのそういうところ」


 夏樹なつきはそう言うと紗良さらを解放した。


「次やったら千切りにするから」


「せ、千切りって……冗談きついよー」


「……」


「え? 何? もしかして本気でするつもりなの?」


「さて、どうだろうな?」


「ええ……」


「お兄ちゃん、早く帰ろっ♡」


 うわ……瞬時に顔と声色変わった。


「ああ」


「あ、あの! 先輩!!」


「なんだ?」


「え、えっと、ま、また明日」


「おう、また明日な」


「は、はいっ!!」


「あー、それと力に使われないようにしろよ」


「が、頑張ります」


「よし、じゃあ、帰るか」


「うん♡」


 はぁ……やっぱり先輩欲しいなー。でも、夏樹なつきちゃん強いなー。あんなのどうやっても勝てっこないよー。

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