来校
放課後、僕と天使型ロボットが校庭に出ると天使型ロボットが校庭上空にたくさんいるのに気づいた。それらは僕を発見するとこちらに向かってスーッと近づいてきた。その中で一番手足が長い個体が大地に降り立つ。おそらくそれが隊長のような存在なのだろう。それは僕の額に手を当てると何かを読み取り始めた。
「……同胞ヲ助ケテクレテ、アリガトウ」
しゃ、しゃべった。今ので僕に通じる言語が何なのか分かったのか。
「どういたしまして。良かったな、仲間が迎えに来てくれたぞ」
「……」
僕のそばにいる天使型ロボットは僕の手を掴んだままその場から動こうとしない。どうしてかな?
「どうしたんだ? 帰りたくないのか?」
「……」
「ドウヤラ、ソノ個体ハ、アナタト一緒ニイタイヨウダ」
「え? そうなのか?」
その子は返事の代わりに僕の手をギュッと握った。
「そうか。でも、いいのか? 地上は結構物騒だぞ」
「問題ナイ。我々ハ単独デ星ヲ滅ボスコトガデキル。故ニ自分ノ身ハ自分デ守レル」
「そ、そうなのか……」
なんかすごいのに懐かれちゃったな。
「ソレニ、ソノ個体ハ我々ヨリ強イ。ナゼナラ『ゼロ・チップ』トイウ無限ニ成長デキル特別ナチップガ埋メ込マレテイルカラダ」
「『ゼロ・チップ』……限界がないからゼロか」
「アア、ソウダ」
「えっと、それが埋め込まれている個体はあと何体いるんだ?」
「正確ナ数ハ分カラナイガ最低デモ一万体イル」
い、一万体!?
「えっと、ここにいるような天使が地上を攻撃することはないのか?」
「基本的ニ攻撃ハシナイ。ダガ神ガコノ世界ヲ作リ直ス時、我々ハソノ手伝イヲスル」
「そうか。分かった。でも、良かったのか? 僕みたいな一般人に色々しゃべって」
「伝エルベキコトヲ伝エタダケダ。問題ナイ」
「そうか。あっ、最後に一つだけ教えてくれ。君たちはロボットなのか? それとも生き物なのか?」
「天使型金属生命体だ」
「そうか。生き物なのか。教えてくれてありがとう。じゃあ、またな」
「アア、マタ会オウ。未来ノ王ヨ」
ん? 今こいつなんて言った? 僕がそいつにその言葉の意味を訊ねようとした時、そいつとそいつの仲間たちはその場からいなくなっていた。




