星の王
僕が座敷童子の童子と一緒に自室のベッドで寝ていると僕の中にいる龍神が僕に話しかけてきた。
「まだ起きているか?」
「……なんだよ」
「いや、少し気になっていることがあってな」
「気になっていること?」
「ああ、そうだ。その……お前は結局どの女子が一番好きなんだ?」
「みんな大好きだよ」
「みんな……か。しかし、この国で重婚するとなると」
「僕は高校を卒業するまで誰とも結婚する気はないよ」
「雅人よ、いつまでも現実逃避しているといざという時何もできなくなるぞ」
「じゃあ、今すぐ僕の体から出ていってくれ。もう嫌なんだよ。血を飲んだらみんな僕の犬になるし、異性に話しかけたら全員僕のこと好きになるし……何なんだよ、この力」
「良いではないか。未来の王に相応しい能力だ」
「未来の王?」
「ん? 言ってなかったか? お前はいずれこの国の……いや、この星の王になるぞ」
「この星の……王?」
「ああ、そうだ。具体的には男には血を、女子には快楽を与えて傀儡にし、全てお前の思い通りになるようにするのだ」
「なんだよ、それ……。僕はそんなの望んでない。どうして僕にそんな恐ろしい力を」
「恐ろしい? 我は我の加護よりお前の精神力や適応力の方が恐ろしいと思うぞ」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味だ。例えば、あの鬼の姫の魂をその身に宿していた頃、お前はなんだかんだ心まで鬼化することはなかっただろう? あれは普通の人間には不可能だ」
「それは僕の祖父や僕の父親もそうだろ?」
「いや、違うぞ。二人はどちらも鬼の力を数回しか使っておらぬ。故にお前ほど鬼化していないのだ。まあ、どちらも副作用に悩まされているがな」
「何?」
「祖父は幼児化、父親は幼少期の記憶を忘れてしまっている。だが、まあ、副作用にしては軽い方だ」
「副作用……。それ、僕にもあるのか?」
「ない。いや、お前の場合、短期間で精神力や適応力が大幅に向上しているからある意味それが副作用だな。そうでなければ人間の闇の管理者になどなれない」
「そうか。でも、僕はこの星の王になるつもりはこれっぽっちもないぞ」
「いや、お前はいずれこの星の王になる。我が力の一端を解放しても平気でいられるのだから間違いない」
「そうか。なら、今すぐお前の象徴を引っこ抜いてやる!」
「引っこ抜くと前より大きいのが生えてくるぞ」
「な、何!? じゃあ、性転換して……」
「ふむ、まあ、一応そちらにも生えているからそれを肥大化させることはできるな」
「そうか。じゃあ、現状維持が一番いいのか」
「まあ、そういうことだ。はっはっは!」
「はぁ……まあ、あまり余計なことはしないでくれよ」
「うむ!!」
無駄にいい返事だな……。




