お兄ちゃん!!
あたしたちが家に戻ると玄関に夏樹(雅人の実の妹)がいた。
「ただいまー。あれ? 夏樹ちゃん、まだ起きてたの?」
「……の」
「え? 何?」
「どうしてお兄ちゃんが負ったダメージを肩代わりしてないの?」
「え?」
「ねえ、どうして? どうしてお兄ちゃんを守ってくれなかったの?」
「え、えーっと、それは……」
おい、鬼姫。家に着いたのか?
あっ、雅人! 今起きたの?
ああ。えっと、今どういう状況だ?
えっと、あんたが受けたあの中性的なガキの連打のダメージをあたしが肩代わりしなかったせいで夏樹がキレてるところよ。
分かった。あとはなんとかするからお前はおとなしくしててくれ。
分かったわ。
「夏樹、聞いてくれ。僕は」
「お兄ちゃん!!」
夏樹(僕の実の妹)は僕が目覚めたことを知ると僕をギュッと抱きしめた。
「おっとっと。急に走ると危ないぞ」
「ごめんなさい。でも、無事で良かった」
「僕が無事だったのは鬼姫のおかげだよ」
「え?」
「ここに着くまでずっと僕に霊力を送ってくれてたからな、おかげで予定より早く回復できたよ」
「そうなの?」
「ああ、そうだ。だから、あんまり鬼姫を責めないでくれ」
「わ、分かった」
「よし、いい子だ。よし、じゃあ、さっさと風呂入って寝るか」
「あっ、私ももう一回入る」
「いや、もうすぐ朝だからお前は少しでも寝ておけ」
「……分かった」
あー、良かったー。殺されるかと思ったー。




