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よく来たな

 その後も何人か幹部がやってきたけど、あたしは全員戦闘不能にした。殺さないように戦うのは難しかったけど、いい勉強になった。


「ねえ、ちんちくりん。あんた、幹部何人倒した?」


「四十九人です」


「勝った! あたし、五十一人!!」


「そうですか。ところで雅人まさとさんはいつ目を覚ますのですか?」


「知らないわよ。まあ、そのうち目を覚ますわよ、きっと」


「あなたは本当に適当ですね。どうせ、あなたが無茶をさせたのでしょう?」


「違うわよ。まあ、そのへんはあとで本人にいて」


「分かりました。そうします」


「それで? こいつが『背取り魔』のボスなの?」


「そのようです」


 こいつ、王様が座っていそうな大きな椅子に座ってるわね。というか、部屋暗くない?


「よく来たな」


「よく来たなって……早く他人から奪った身長を持ち主に返しなさいよ」


「それはできない」


「はぁ? なんでよ」


「それが私の使命だからだ」


「他人の身長を奪ってそれを他のやつに提供するのが使命? くだらない。さっさと元に戻しなさいよ!!」


「私が若い頃、私の身長は二メートルを超えていた」


 え? 何? なんか急に語り出したんだけど。


「しかし、上には上がいた。私はその者に最愛の人を殺され、全財産を奪われ、そして……私の親族が住む家を焼いた」


「ふーん、だからあんたは自分みたいな不幸なやつが生まれないように男の身長を奪って組織の連中や身長が欲しいやつらに譲渡してたのね」


「ああ、その通りだ」


「でも、それってそいつとやってること同じじゃない?」


「何?」


「いや、だってそうでしょ? 特に何もしてないのに一方的に身長を奪われたやつらは少なからず不幸になってるわよ」


「そ、そんなことは」


「ないって言い切れるの? ねえ、おじいちゃん」


「わ、私はただ、世界を平和に」


「じゃあ、まず自分を幸せにしなさいよ。じゃないと誰も幸せになんてできないわよ」


「……っ!! お前の言う通りだ。私は間違っていた。今まで回収した身長は持ち主に返そう」


 そいつが指をパチンと鳴らすとおじいちゃんが集めていた身長は持ち主の元へ戻っていった。


「おじいちゃん、もう二度とこんなことしちゃダメよ!」


「ああ、分かった」


「よろしい。あっ、そうだ。ちんちくりん、あとのことよろしくー」


「そういうわけにはいきません。自分が壊したものは自分で直してください」


「えー! そんなー! あんた座敷童子の名家の子なんだからそれくらいお金でどうにでもできるでしょー?」


「あなたのためにお金を使いたくありません」


「石頭! ケチ! コケシ!」


「そんなこと言っても無駄です。ほら、さっさと直さないと夜が開けてしまいますよ」


「あー! もうー! 分かったわよ! 直せばいいんでしょ! 直せば!!」


「はい」


 あー! 腹立つー!! こいつのこういうところ全然変わってない!!


「頑張ってくださいね」


「うるさい! どっか行け!!」


「はい、そうします」


 そいつはそう言うとその場から一瞬でいなくなった。

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