中性的な子ども
僕と鬼姫の行く手を阻んだのは中性的な子どもだった。
「あ、あの! あ、あなたはこれからボスのところに行くつもりなんですか?」
「ええ、そうよ。というか、あんたもしかして『背取り魔』の幹部?」
「は、はい! そうです!!」
「あっ、そう。じゃあ……そこ、退いて」
「ひ、ひいっ!」
おい、鬼姫。もう少しオブラートに包め。怯えてるじゃないか。
うるさいわねー。なら、あんたが説得しなさいよ。こういうの得意でしょ?
いや、別に得意じゃないぞ。まあ、とりあえずちょっと代わってくれ。
オッケー。
「コホン……はじめまして。僕の名前は『山本 雅人』。君の名前は?」
あ、あれ? なんか口調とか雰囲気変わってる。
「あっ、えーっと、僕の名前は『黒川 昴』です」
「へえ、いい名前だな」
「そ、そんなことないです! というか、名前だけじゃなくて容姿とか性格も曖昧で困ってます」
「曖昧ねー。えっと、男性ホルモンと女性ホルモンは男女どちらにも両方あるからそんなに気にすることはないぞ」
「で、でも! 僕もっと男らしくなりたいんです! いつまでも女の子に間違われるのは嫌なんです!!」
「そうか。じゃあ、君の理想の男性像を教えてくれ」
「え? あー、えーっと、筋肉ムキムキで背中に鬼の顔のようなものを浮かべ上がらせられるような人です」
「えーっと、君は格闘漫画のキャラクターになりたいのか?」
「は、はい! やっぱり男は腕っぷしが強くないと!!」
「そうか。でも、君は怪しい組織に入り、しかも幹部にまでなってしまった」
「そ、それはそうですが……」
「まあ、とりあえず今の君の実力を知りたいから僕と戦ってくれないか?」
「わ、分かりました! じゃあ、僕が勝ったら僕の舎弟になってください!」
「舎弟ねー。うん、分かった。それでいいよ。じゃあ、始めようか」
「はい!!」




