紅の乱れ桜
あー! うざい!! こいつ、あたしが攻撃すると瞬時に身長変えてくる!
「どうした? 月一でやってくるアレか?」
「はぁ……どうして女の子の調子が悪い=アレって決めつけるの? バカなの?」
「そうか。違うのか。では、なぜこの程度の技に対応できないのだ?」
「うるさいわね! ちょっとタイミングが合わないだけよ!」
鬼姫、この盲目の侍は強い。言霊を使え。
うるさいわねー、あんたは黙ってなさい!!
いや、でも……。
雅人、お願い。今、あたしガチでキレそうだからあんまり話しかけないで。
分かった。でも……。
殺すな、でしょ? 大丈夫、あんたとなら昔みたいなことにはならないわ。
そうか。死ぬなよ、鬼姫。
はいはい、分かってるわよ。命大事にでしょ?
ああ。
よし、じゃあ、そろそろやりますか!!
「ねえ、あんた」
「なんだ?」
「目が見えないのってどんな感じなの?」
「ずっと暗闇にいる。しかし、音がさまざまな色になってその暗闇を照らしてくれる」
「ふーん、なるほどねー。常時花火大会なのね」
「ああ、そうだ」
「ところであんたの他にあと何人幹部がいるの?」
「幹部の正確な数は誰も知らない」
「あんたたちのボスも知らないの?」
「知らない」
「あっ、そう。じゃあ、もうそろそろ終わりにするわ」
「終わらせるだと? 我より弱いお前が我に勝てるのか?」
「勝てるわよ。あんたの倒し方、思いついたから」
「ほう、そうか。では今すぐ見せてみろ!!」
こいつは自分が優位な時は身長を変えない。それは回避にしか使ってない。だから、こいつを倒すには……。
「秘剣! 『紅の乱れ桜』!!」
雅人の体バラバラ。というか血しぶき、すっご。まあ、作戦通りなんだけどね。
「しまった。切る前にどんな葬式形式が好みなのか訊ねるのを忘れていた」
「安心しなさい。あたしたち、これくらいじゃ死なないから。というか、そろそろ自分の心配した方がいいわよ」
「何? ……っ!? こ、これは!!」
「どうして自分が切った箇所のキズが自分にあるのか。そしてなぜ全て軽傷なのか。答えは簡単、カウンターよ。まあ、今回は相手のダメージの三割くらい相手に返すやつだから死ぬことはないわ」
「そうか。だから、回避しようとしなかったのか」
「正解。えーっと、これからどうする? まだ戦う?」
「いや、いい。軽傷とはいえ、放っておけば失血死するからな」
「あっ、そう。じゃあ、その糸目男の首くっつけてあげて。そいつはただのかわいそうなやつだから」
「分かった」
「よし、じゃあ、そろそろ先に進みましょうか。あっ、また遊びたくなったら言ってね。いつでも相手してあげるから。じゃ!」
「は、ははは……あれが遊びか……。強さの底が見えないな。しかし、鬼にしてはあまり邪気を感じなかったな。器がいいからだろうか」




