1065/1940
背取り魔
最近、男性の身長の売買がされている。しかも個人ではなく『背取り魔』という組織が行っているらしい。
「なあ、鬼姫」
「なあに?」
「今回は人数が多いらしいから」
「あたしの手を借りたい……でしょ?」
「ああ、そうだ」
「うーん、どうしよっかなー」
「頼む! お前だけが頼りなんだ!!」
「うーん、じゃあ、あんたの体貸して」
「え? なんでだ?」
「なんでって、そういう気分なのよ」
「そうか。でも、お前は僕の体を鬼にしちゃうからあんまり貸したくないな」
「それはあんたの心が豆腐並みに貧弱だからよ」
「豆腐って……じゃあ、今はどうなんだ?」
「うーん、今は……水ね」
「水? 前より強度落ちてないか?」
「心は強度よりも柔軟性が大事なのよ。ということで、久しぶりに体貸しなさい! これは命令よ!!」
「はぁ……はいはい」




