性欲は灰になるまで消えません!!
次の日の朝、家出中の白猫に叩き起こされた。
「ダーリン! 起きて!! 外に変なのがいる!!」
「変なの? それはどんなのだ?」
「えーっとねー、頭に猫耳が生えててー、スカートからシッポが生えててー、それから……」
「……うちの高校の制服を着ている」
「そうそう! 着てる! 着てる! あっ、でも、なんか猫っぽかったわよー」
「猫っぽい? あー、なんとなく今起こってること分かったからお前は朝ごはん食べててくれ」
「え? いいの? 私いた方がよくない?」
「大丈夫。僕の家まで来られたってことはまだ記憶はあるってことだから」
「分かった! じゃあ、頑張ってね! ダーリン♡」
「おう」
僕がパジャマのまま家を出ると猫化した後輩が僕に抱きついた。
「ニャー♡」
「おい、紗良。僕のこと分かるか?」
「……え? あっ、先輩。おはようございます。えーっと、私どうして先輩に抱きついてるんですか?」
「それはこっちが知りたいよ。それで? いったい何があったんだ?」
「えーっと、私、昨日先輩のこと考えながら」
「そういうことをしたら猫化して、ここまで来てしまった」
「は、はい……」
「はぁ……そうか。で? どうする? 僕との思い出を消すか? それとも症状を緩和する薬をそういうことをする前に飲むか? まあ、僕がこの世に生まれてこなかったことにすればお前は一生猫化しないがな」
「……先輩」
「ん? なんだ?」
「最初と最後はダメです。というか、軽々しくそんなこと言わないでください」
「それくらいしないとお前の症状は悪化するぞ」
「だとしても! 私はこれからも先輩と一緒に生きていたいんです!! あっ……」
「紗良、お前……」
「い、今のはそういうのじゃないです! というか、先輩がいないと夏樹ちゃん悲しみますよ!!」
「そのへんはうまくやれるから大丈夫だよ。で? どうする? これから一生そういうことをしないという手もあるぞ」
「そんなの無理です! 不可能です! 性欲は灰になるまで消えません!!」
「そうか。じゃあ、薬作ってもらうか」
「はい! あっ、できればそんなに苦くないやつがいいです」
「そうか、分かった。というか、お前制服着たままやってたのか?」
「そ、それはその、私の頭の中の先輩が制服フェチでして」
「勝手に制服フェチにするな。まあ、嫌いじゃないけど」
「そうなんですか!!」
「なんでそんなに嬉しそうな顔するんだ?」
「そ、そんなことないですよー」
「そうかー?」
「そ、そうですー!」
「はぁ……まあ、そういうことにしておくか。紗良、薬ができるまでうちでのんびりしてていいぞ」
「え? いいんですか?」
「ああ、いいぞ。あっ、一応親に連絡した方がいいんじゃないか?」
「あっ、大丈夫です。親はほとんど家にいないので」
「そうなのか?」
「はい」
「そうか。まあ、とりあえず足洗った方がいいな。あと靴下も」
「なんかすみません、迷惑ですよね」
「仕方ないだろ、いきなり猫化しちゃったんだから。ほら、早くあがれよ」
「は、はい。お、お邪魔します」




