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鬼姫狩り

 僕が暁闇ぎょうあん空箱からばこから出ると座敷童子の童子わらことレイナ(白髪ロングの幼女だが宇宙人である)がいた。


「なあ、童子わらこ。おもしろ三人組はもう帰ったのか?」


「はい、帰りました」


「そうか」


「お兄さん、私ちゃんとお兄さんの言う通りにしたよ。褒めて」


「え? あー、分かった。よしよし、レイナはいい子だなー」


 僕がレイナの頭を撫でると彼女は嬉しそうに笑った。


「お兄さん、もっと私にちょうだい。お兄さんの全部、私にちょうだい」


「全部は無理だ。血で我慢してくれ」


「お兄さんの血は危ないからもう飲みたくない」


「そうか。じゃあ、一緒に寝るか?」


「うん! 寝る!!」


「そうか。分かった。じゃあ、早く帰ろう」


「お兄さん、待って。私たち囲まれてる」


 知ってるよ。


「そうか。なあ、童子わらこ。こいつら何者だ?」


「『鬼姫きき狩り』です」


「『鬼姫狩り』?」


「はい。まあ、今も雅人まさとさんのそばにいるあの鬼を倒したい人たちで構成されている組織なのでこちらに危害を加えるつもりはないと思います」


「ふーん。だってよ、鬼姫きき。相手してやれよ」


「面倒だからパス」


「あっ、そう。じゃあ、全員やっていいんだな?」


「いいわよー」


「そうか。分かった」


 鬼狩りのリーダーらしき人物が公園のすべり台付近までやってくる。おっ、黒い忍装束か……。猫の国の椿つばき姉さん元気でやってるかなー。


「あのさー、公園は公共施設だから遊具壊すと絶対面倒なことになるから場所変えないかー?」


「うるさい! 黙れ!! とっととその鬼の首を寄越せ!!」


「いーやーでーすー」


 鬼姫ききがそう言うとやつは仲間に合図を出した。


「そうか。では、今すぐ死んでもらおう。突撃ー!!」


 しかし、勝負はもうついていた。


「な、なんだ? なぜ誰の足音もしないんだ?」


 やつが振り向くとそこには地面に倒れている仲間たちの姿があった。


「な、なぜだ! なぜ私以外誰も立っていないんだ!?」


「ねえ、あんた。言霊ことだまって知ってる?」


「言霊? お、お前まさか!!」


「安心して。気絶させただけだから」


「そんなの信用できるか! 今すぐ死ねー!!」


 やつが抜刀し、鬼姫ききの首を切ろうとする。


「はぁ……ねえ、雅人まさと。こいつ殺していい?」


「ダメだ。殺すな」


「はいはい……うーんと、じゃあ……腐食拳」


 やつの刀が鬼姫ききの拳に触れた瞬間、刀は粉末になりパラパラと地面に落下した。


「な、なんだ! それは!! そんなの聞いてないぞ!!」


「当然よ。あたしがたった今作った技なんだから」


「ふ、ふざけるな! そんな付け焼き刃の技など技ではない!!」


「あっ、そう。でも、その付け焼き刃の技に屈したあんたの刀はそれ未満ってことになるわよ?」


「だ、黙れ! 黙れ! 黙れ! 黙れ! 私の恋人を私の目の前で殺したお前を私は絶対に許さない!!」


「ねえ、雅人まさと


「なんだ?」


「こいつにあんたの血飲ませていい?」


「ダメだ」


「えー」


「えー、じゃない。というか、心当たりあるのか?」


「うーん、覚えてないなー」


「ふざけるな! 今すぐ私の恋人を蘇生させろ!!」


「蘇生はできないけど、魂を呼ぶことはできるわよ。どうする? 呼ぶ?」


「お前の言葉は信用できない! さっさと死ね!!」


 やつが鬼姫ききの首を絞めようとする。鬼姫ききはやつより早くやつの首をつかみ、足が地面から離れるところまでやつを持ち上げた。


「そんなに恋人に会いたいのなら自分から会いに行きなさいよ。あたし、手伝うから……ね?」


「は……な……せ……」


「あんた、さっきからあたしを殺そうとしてるけど、それやったらあんたの恋人喜ぶの?」


「お前に……何が……分かる……!!」


「分からないからいてるのよ。ねえ、あんたはそいつのことどのくらい好きなの?」


「どのくらい、だと? そんなの、決まってる。私の全てを捧げてもいいくらい、好きだ」


「ふーん。じゃあ、今からあんたの恋人があの世で何してるのか見せてあげる」


「待て! 鬼姫きき!! そんなことしたらこの人は!」


「ねえ、雅人まさと。いつまでも死人に囚われてるやつってどう思う?」


「え? うーん、そうだなー。たまに思い出すくらいならいいけど、四六時中その人のことを考えてると多分頭おかしくなるな」


「そうね。そしてこいつは明らかに後者。ということであたしは今からこいつが恋人の分まで生きていけるようにするわ」


「そうか……」


「や、やめろ……」


「そうよね、知りたくないことなんて一生知りたくないわよね。でも、今のあんたにはそれくらいしないとダメなのよ。だから、お願い。現実を受け入れて」


「や、やめろ! やめろー!!」


「ごめんね……念写開始」


「あ……ああ……や、やめろ! やめてくれ! くそ! どうして目を閉じても頭の中に死後の恋人の映像が流れるんだ! お、おい! 待て! 誰だ! そいつは!! 私以外のやつとそんなことするなー!!」


 地獄は数十分で終わった。それを全て見せられたそいつの心はズタボロだった。やつはポロポロと涙を流しながら地面に座っている。


「ねえ、あんたこれからどうする?」


「これから? なんかもう全部どうでもいい」


「あっ、そう。でも、今あんたの目の前にあんたの人生をめちゃくちゃにした張本人がいるわよ? ねえ? 聞いてる?」


「もう何もかもどうでもいい」


「そう。じゃあ、あたし今夜、雅人まさととするわ」


 その直後、鬼姫きき以外全員こう言った。


『……は?』


「他人の脳を破壊した後にやったらどうなるんだろう。やっぱり気持ちいいのかなー?」


「ふ、ふざけるな! なぜ今そんなことを私の目の前で言うんだ! 頭おかしいのか!!」


「そんなに褒めても何も出ないよー」


「褒めてない!」


「え? そうなの? まあ、いいや。雅人まさとー、早く帰ってあたしといいことしよう」


「いいことって、僕は別に……」


「バカ! 空気読みなさいよ!!」


「え? あー、そういうことか。あー! 楽しみだなー! 今日は朝までコースだー!」


「うんうん! いっぱいしようね♡」


「ま、待て! 逃げるつもりか!!」


「逃げてないですー。大人の遊びをするために帰るだけですー。じゃ、まったねー」


「く、くそー! これで勝ったと思うなよー!!」


 そう、あんたはそれでいい。いつでもあたしを殺しに来なさい。

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