こいつ、ガタイいいな
夜……暁闇の空箱の中……。
「えーっと、君が最後かな?」
「ああ」
こいつ、ガタイいいな。というか、酒呑童子思い出すな。僕がそんなことを考えていると緑髪の少年(?)がゆっくり口を開いた。
「雅人さん、あなたはあの酒呑童子を倒したそうですね?」
「え? あー、まあ、そうだな」
まあ、僕より夏樹(僕の実の妹)の方が強いんだけどな。
「俺はあの日、滝行をしていたのであなたの試合を見ていないのですが俺の幼馴染かつ実の兄のような存在を倒した者がいることを聞いた時、俺は自分の耳を疑いました」
「いや、あれは僕というより人間の闇が倒したから」
「雅人さん、あなたは知らないかもしれませんが、鬼には数え切れないほどの耐性があり、その中に闇耐性があるんです。なので、普通はダメージを与えることができません。しかし、あなたの闇はそれを見事に無効化し、勝利しました。これは太陽と地球が衝突した結果、地球が生き残ったのと同じくらいありえないことです!!」
「大げさだなー」
「あなたは自分の強さをまるで理解していません! もっと自分を見てあげてください!!」
「あー、うん、分かった。で? 君の悩みは何なの?」
「え? あー、まあ、その……酒呑童子がですね、あなたに負けたショックで引きこもりになっているんですよ。ですから、まあ、あなたに喝を入れてほしいんです」
「そうか。じゃあ、酒呑童子に伝えてくれ。『来るなら来い。いつでも相手になってやる』ってな」
「分かりました。あ、あの、握手していただけますか?」
「え? あー、いいよ」
僕が彼の手を握ると彼は泣いて喜んだ。
「ありがとうございます! 帰ったら自主トレのメニュー見直して今よりもっともっと強くなります!!」
「そうか。でも、いくら強くなっても自分一人で守れるのは自分の手が届く範囲だから、あんまり無茶するなよ」
「はい! 分かりました!! では、失礼します!!」
今の言葉、今の僕にも当てはまるな……。さてと、そろそろここから出るか。




