そいつが俺の幼馴染だよ!!
夜……暁闇の空箱の中……。
「な、なんだ! ここ!! おい! 早くここから出せ!」
「それはできない。あと君は無駄な動きが多い」
「それがどうしたー!!」
赤髪の少年が僕の顔面に拳を当てようとする。僕はそれを額で受け止めた。
「まあ、少し落ち着け。というか、僕何かしたか?」
「俺はお前を絶対に許さない! 俺の幼馴染を元に戻せ!!」
「ほう、君には幼馴染がいるのか。それは男か? 女か?」
「お、女だ……」
「そうか。君はその子のことが好きなのか?」
「俺より脳筋なあいつを好きになるわけねえだろ!!」
こいつ、なんでいちいちキレるんだ? まあ、いいや。
「そうか。えっと、その子は君より年上か? それとも年下か?」
「年上だ。そして俺のライバルでもある」
「そうか。えーっと、その子が戦闘時に用いる武器とか戦い方を知っていたら教えてくれ」
「あいつは刀が大好きだ。あと抜刀術を使う」
刀……抜刀術……ん? もしかしてあの人かな?
「……『一条 真紀』」
「お、お前! 今なんて言った!!」
「え? あー、えーっと、今のは知り合いの名前だ」
「そいつだよ! そいつが俺の幼馴染だよ!!」
「え? あー、そうなのか。それで? 一条先輩は今どんな感じなんだ?」
「どんな感じ、だと? 学校が終わったらすぐ山に行って修行してるよ! ここに来る前にいきなり現れたコケシ頭のガキと一緒にな!!」
なるほど……。
「そうか。それで? 君は一条先輩をどうしたいんだ?」
「どうしたいだと? そんなの決まってるだろ! 勝ち逃げは許さねえ! 俺と戦え!! 一姉!!」
「分かった。じゃあ、今の音声先輩に送っておくよ」
「は? お前、今の録音したのか?」
「ここは僕の空間だからな、大抵のことはできるんだよ。というか、そろそろこの手を退けてくれないか?」
「え? あー、そうだな」
彼が僕の額から拳を退ける。解決するのがあと数秒遅かったら人間の闇がこいつ食べてたな。
「あっ、もう帰っていいぞ」
「え? あ、ああ、分かった」
「あっ、ここから出たら青い髪のやつ呼んでくれ」
「おう、分かった。じゃあな、雅人」
「おう」
あれ? 僕、こいつに名前言ったっけ? うーん、まあ、いいや。




