じゃあ、私もそれマネしていい?
今、僕は夏樹(僕の実の妹)と八尺ちゃんと一緒にお風呂に入っている。なぜならば、そうすることで水道代と電気代を削減できるからだ。
「狭い! もっとそっち寄ってよ!!」
「これ以上は無理だよー。あれ? お義兄ちゃんがいない。どこ?」
いや、分かるだろ。どうして分からないんだ? あー、腹立つ。
「どこって、お前の胸の谷間にいるだろうが!!」
「え? あー、ホントだー。お義兄ちゃん大丈夫ー?」
「……し、死ぬ……」
「え? 死ぬほど気持ちいいの? 嬉しいなー」
「バカ! 窒息死させるつもりか!! 今すぐその無駄にでかい胸切り落とせ!!」
「切り落とすのは無理だよー。でも、変形ならできるよー」
「なら、今すぐお兄ちゃんを解放しろ! さぁ、早く!」
「はいはい」
やつが自分の胸の脂肪を二の腕に移動させるとお兄ちゃんはお湯とキスをした。
「お兄ちゃん! 大丈夫!?」
「……あ、ああ、大丈夫だ……」
「本当に?」
「ああ、大丈夫だ。一瞬、三途の川が見えただけだ」
「それ結構危なくない?」
「まあ、そうだな。でも、お前のおかげで助かったよ。ありがとう、夏樹」
「どういたしまして」
「ねえねえ、お義兄ちゃん。私の胸気持ちよかった?」
「うーんと、正直苦しかった」
「そっかー。じゃあ、次からもう少し締め付け弱くするね」
「もうしなくていい! というか、するな!! お前のその胸は兵器だ!!」
「夏樹ちゃん、悔しいんだったら少しは成長しようよ。そんな貧相な体じゃお義兄ちゃん満足できないよ」
「分かってないな、お前は」
「え?」
「私はお兄ちゃんのためにそうしてるんだよ」
「んー?」
「いいか? 髪の長さ、顔のパーツ、身長、体重、スリーサイズ、筋肉のつき方、性格……これら全てを変えるのは容易ではない。しかーし! 妖怪ならそれら全てを容易に変化させることができる! つまり、私がいつも幼児体型なのはいつでもお兄ちゃんの夢を実現できるようにあえてそうしているのだ!」
「……えーっと、未成熟の方が変形しやすいからそうしてるってこと?」
「そうとも言う!!」
「ふーん、そうなんだー。じゃあ、私もそれマネしていい?」
「……何?」




