疲れがどっか行ったよー!
僕は漢数字の『〇』を書くことで無を具現化できるようになった。それを使って夏樹(僕の実の妹)に全身マッサージをした結果……。
「すごいよ! お兄ちゃん! 疲れがどっか行ったよー!」
「そう、なのか?」
「うん! いやあ、やっぱりお兄ちゃんはすごいなー。私もお兄ちゃんみたいに強くなりたいなー。あっ、そうだ! 触覚鍛えよう!!」
「え? 触覚?」
「うん。ほら、私って髪が使えないと戦闘力ゼロになっちゃうでしょ? だから、敵より先に攻撃する必要があるんだよ」
「そうか。でも、触覚鍛えるには他の感覚使わないようにしないといけないぞ?」
「あー、そっか。じゃあ、目にしようかなー」
「目かー。まあ、いきなり外でやると危ないからまずは自分の部屋でやった方がいいな」
「分かった! あっ、今日から始めた方がいいかな?」
「やる気がある時にやっておいた方がいいぞ」
「だよねー。じゃあ、そういうことで! おやすみ! お兄ちゃん!!」
「ああ、おやすみ、夏樹」
いつもより元気な夏樹はダッシュで自室へ向かった。
「……お兄さん、私にも全身マッサージして」
この声はレイナ(白髪ロングの幼女だが宇宙人である)だな。
「ああ、いいぞ。じゃあ、そこのベッドに横になってくれ」
「うん、分かった」
「雅人さん、約束覚えてますよね?」
この声は座敷童子の童子だな。
「ああ、もちろん。じゃあ、レイナのとなりに横になってくれ」
「分かりました」
「それじゃあ、交互にやっていくぞ」
「うん」
「はい、分かりました」
僕は二人にも全身マッサージをした。もちろん疲れを無にする例の文字を使った。




