鏡の世界
継承の儀。それはレイナ(白髪ロングの幼女だが宇宙人である)の星の人々が収集したあらゆる情報を誰かに継承する儀式である。それは誰でも構わないが、情報量が多すぎるためレイナのような王族以外に継承しようとすると頭が破裂するらしい。僕がそれを知ったのは儀式が終わった後だった。レイナ。それ、もっと早く言ってくれよ……。
「えっと、どうしてレイナは僕に継承したんだ?」
「お兄さんが管理者だからだよ」
「万が一、僕が死んでたら……いや、僕は人間が一人でもいれば生きられるからそれはないのか。あっ、お前もしかしてそれが本当かどうか試したのか?」
「……そんなことないよ」
「今の間はなんだ? うーん、まあ、いいや。えっと、とりあえず風呂入るか」
「私も入る」
「それはダメだ」
「どうして?」
「どうしてって、何かあったらまずいだろ?」
「お兄さんは私に何かするつもりなの?」
「いや、別に」
「そう。なら、一緒に入っても問題ないね」
「はぁ……夏樹に刺されないようにしろよ」
「分かった」
ん? そういえば夏樹(僕の実の妹)は今どこにいるんだろう。自分の部屋にいるのかな? というか、この家静かすぎるな。みんなどこにいるんだろう。
「おい、童子。いるか?」
あれ? 座敷童子の童子が現れないぞ? いつもならどこからともなく現れるのに。
「キュー、みんなが今どこにいるのか教えてくれ」
「キュー……」
「もしかして分からないのか?」
「キュー」
「そうか。でも、みんなの居場所が分からないことが分かったな。よし、じゃあ、捜索範囲を宇宙規模にしよう。あー、あと別の空間と別の次元込みにしてくれ」
「キュー!」
「レイナ、お前はとりあえず僕のそばから離れるな」
「分かった」
今この家で何が起こってるのかよく分からないけど、とりあえず僕にできることをしよう。
「お兄ちゃん、お風呂沸いたよー」
「そうか……って、な、夏樹!? 今までどこにいたんだ!?」
「鏡の世界だよー。向こうは無人だから、そこでいろんな実験できるんだよー」
「そうか。だから、この家からいなくなってたのか。えっと、みんなそっちにいるのか?」
「いるよー。お兄ちゃんも来るー?」
「いや、いい。今日はこれ以上頭使いたくないから」
「そっか。じゃあ、一緒にお風呂入ろう!!」
「ああ、分かった。えーっと、レイナも一緒だけどいいか?」
「いいよー」
「そうか。良かったな、レイナ」
「うん」
「じゃあ、行くか!!」




