後輩とデートと空島
僕が自教室にある自分の席に座ると『下北 紗良』がやってきた。
「おはようございます! 先輩!!」
「えっと、君は誰だ?」
「ちょ、先輩私のこと覚えてないんですか? ほら、私の頭に生えてるこの猫耳がチャームポイントのー」
「あー、下北 紗良か」
「はい! そうです! 下北 紗良です!」
「それで? 君は何しに来たんだ?」
「あー、その、えーっと……夏樹ちゃんと仲良くなるにはどうすればいいのかなーと思いまして」
「ん? ちょっと待て。もしかして夏樹のこと好きなのか?」
僕がそう言うと彼女は赤面しながらそれを否定した。
「ち、違います! 私、そんなんじゃありません! 私はただ、夏樹ちゃんとの仲を深めたいだけです!!」
「本当か?」
「本当です! 信じてください!!」
「……分かった。信じるよ。それで? どれくらい親密になりたいんだ?」
「え? あー、そうですねー。て、手を繋げるくらいの関係になりたいです!!」
「え? それって恋人なんじゃ……」
「違います! 友達です!! 決して夏樹ちゃんにあんなことやこんなことをしたいだなんて考えてません!」
「そうか。じゃあ、今週の土曜日、どこか遊びに行こうか」
「はい! 喜んで!!」
「いい返事だな。話は変わるが、君は元彼と付き合ってる時、デートしたことあるか?」
「バカにしないでください! ちゃんとしてますよ! 三回くらい!!」
少ないな……。うーん、でも、そんなものかな?
「そうか。それで? どこでデートしたんだ?」
「えーっと、動物園と水族館と遊園地です」
「分かった。えーっと、元彼と別れた理由はたしか」
「私を性欲の捌け口にしようとしたからです!!」
「そうだったな。よし、じゃあ、今度の土曜日、遊園地に招待するからそこで思い切り楽しんできてくれ」
「分かりました……って、今の言い方だとまるで先輩がその遊園地の関係者みたいじゃないですか!!」
「あれ? 言ってなかったか? 人造妖怪たちが作った空島にはいろんな施設があって、その中の一つが遊園地なんだよ。で、僕はその子たちの保護者みたいなものだから、その子たちにお願いすればいつでも貸切にできるんだよ」
「は、初耳です……。というか、先輩の命令一つで世界征服できそうですね」
「……そうだな」
「ちょ! なんですか! 今の間は! まさか、本当に世界征服するつもりじゃないですよね!?」
「人類がこの星を終わらせようとしたら、僕たちは全力でそれを阻止するよ」
「は、はぁ……」
「そんなことより早くデートプランを考えないといけないぞ。なあ、朝、何時に集合すればいい?」
「うーん、そうですねー。じゃあ……」




