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苦しい……けど、嬉しい

 ここがこのの家かー。えーっと、苗字は……。


「何してるの? 早く中入って」


「え? あ、ああ、分かった」


 まさか、な……。

 彼女の家は散らかっていなかった。まるで誰かが毎日掃除しているかのようだ。僕がリビングを見渡していると自分の部屋に荷物を置きに行った彼女がリビングにやってきた。


「ちょっとあんまりじろじろ見ないでよ」


「え? あー、すまない。ところで家政婦さんはいつ来るんだ?」


「は? そんなの一度も来たことないわよ」


 そうか。ということは……。


「そうか。あっ、今日の晩ごはん何にする?」


「食事のメニューなんて考えてことないわ。いつも食べたいと思ったら出てくるから」


 なるほど。やっぱりそうか。


「そうか。じゃあ、とりあえず風呂に入ろうか」


「は? なんでそうなるのよ」


「君は今、死霊にかれている。ここに来るまで君がんだ原因はそれだと思っていたけど、それは君を襲うどころか守っている。まあ、要するに君がんでいるのは自己肯定感が低くなっているからなんだよ」


「へえ、そうなの。じゃあ、あんたも一緒に入りなさい」


「え? なんでそうなるんだ?」


「なんでって誰かに体を洗ってもらいたい気分だからよ」


 あれ? 私、何言ってるの?


「そうか。分かった。じゃあ、一緒に入るか」


「え? え、ええ……」


 ちょ! ちょっと待って! なんで私、初対面の男と一緒にお風呂に入ろうだなんて言っちゃったの!?


「なあ」


「な、何!?」


「バスタオルは僕の家から持ってきた方がいいかな?」


「……わよ」


「え? なんだって?」


「うちの使っていいわよ!!」


「お、おう、分かった。じゃあ、風呂の準備を」


「家事は勝手にやってくれるからあんたはソファでくつろいでて!!」


「え? いや、でも君から目を離すわけには」


「じゃあ、私の部屋に来ればいいじゃない!!」


「え? いいのか?」


「二度も言わせないで。ほら、行くわよ」


「お、おう」


 なんか情緒不安定だなー。大丈夫かなー?

 く、苦しい……どうして私の心臓、こんなにドキドキしてるの? 苦しい……けど、嬉しい。何なの? これ。

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