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兄妹っていいね

 レイナ・ヒュミリム(白髪ロングの幼女だが宇宙人である)の自己紹介が終わるとリビングのソファに座っていた夏樹なつき(僕の実の妹)がスッと立ち上がり彼女をにらみつけた。


「おい、宇宙人。お前、私のお兄ちゃんを〇〇で寝かせたそうだなー?」


「うん、そうだよ。あー、それと私お兄さんが寝返りをするたびにキュンキュンしてたよ」


 彼女が真顔でそう言うと夏樹なつきは自分の黒い長髪で彼女を拘束した。


「……そんなに気持ちよかったのか?」


「うん、とっても」


「そうか。その話、あとでゆっくり聞かせろ」


「なんで?」


「それをしたことがないからだ」


「ふーん、そうなんだ。じゃあ、お兄さんを私にちょうだい」


「……なに?」


「昨日、婚姻こんいんの儀を終わらせちゃったから順番がおかしくなってるけど、一応家族に伝えておこうと思って。ダメかな?」


「……ねえ、お兄ちゃん」


「な、なんだ?」


「こいつが今言ったことはお兄ちゃんの体内にある私の髪から聞いてたけど、まさか本気でこいつと結婚するつもりじゃないよね?」


「高校を卒業するまで誰とも結婚する気はないよ」


「だよねー。じゃあ、今のうちにこいつをだるまにしちゃおう」


「そんなことしたら戦争始まっちゃうよ」


「戦争?」


「うん、そうだよ。まあ、人間がいる限り絶対勝てないけどね」


「そうか。なら、お前は人質だ」


「違うよ。人質は……お兄さんだよ」


 何かに気づいた夏樹なつきが僕に何かを言おうとする。だが、もう遅かった。


「お兄さん、おいで」


「はい」


「……っ!! おい! お前! 私のお兄ちゃんに何をした!!」


「何って管理者システムをちょっといじってお兄さんを私のものにしただけだよ」


「そ、そんな……」


「なんでそんなに驚いてるの? 私の星が作ったシステムなんだからこれくらいできて当然でしょ?」


「……返して」


「え?」


「私はどうなってもいいから私のお兄ちゃんを返して!!」


「それをしたら私に何かいいことあるの?」


「……え?」


「あなたが一番よく知ってるよね? お兄さん以上に価値があるものなんてこの世に存在しないってこと」


「ま、待って……」


「行こう、お兄さん。ねえ、新婚旅行どうする? 月? それとも火星?」


「……待って!!」


「なあに?」


「お兄ちゃんはその子と一緒がいいの?」


「……? 何言ってるの? 今のお兄さんに何を言っても無駄だよ」


「お前は黙ってろ!!」


「はぁ……はいはい」


「ねえ、お兄ちゃん。私のこと分かる? お兄ちゃんの妹だよ」


「いもうと?」


「うん、そうだよ。この世にたった一人しかいないお兄ちゃんの妹だよ。ねえ、お兄ちゃん。この星で一生私と暮らそうよ。私、お兄ちゃんとの思い出もっともっとたくさん作りたいの。だから、お願い。私を一人にしないで……」


「レイナ様」


「なあに? お兄さん」


「私の目から冷却液が出ています。なぜでしょう?」


「それは冷却液じゃなくて涙だよ」


「なみだ?」


「はぁ……もういいよ。おやすみ、管理者システム」


「はい、おやすみなさい、レイナ様」


 おかしいなー、完全に管理者システムに乗っ取られてたはずなのに。これが愛とかいうよく分からないものの力なのかな?


「あれ? 僕今まで何して」


「お兄ちゃあああああああああああああああああああん!!」


「うわっ! どうしたんだ? 夏樹なつき。なんで泣いてるんだ? というか、あんまり強く抱きしめないでくれ。骨折れるから」


 夏樹なつきがこんなに泣くの珍しいな。いったい何があったんだろう。


「なあ、誰か。何があったか教えてくれないか?」


雅人まさとさんは知らなくていいです」


 座敷童子の童子わらこがそう言うとみんなうんうんと頷いた。


「な、なんだよー。教えてくれよー」


「お兄さん」


「あっ、レイナ! なあ、いったい何があったんだ?」


「あー、えっとねー……内緒♪」


「えー! そんなー!」


「ねえ、お兄さん」


「ん? なんだ?」


「兄妹っていいね」


「え? あー、まあ、そうだな」


「ごめんね、夏樹なつき。ちょっと試してみたくなってついやっちゃったんだよ」


「フシャー!!」


「ごめんね、もうあんなこと二度としないから許して」


「許さない! 絶対許さない!!」


「怒ってる夏樹なつきかわいい」


「だなー。おー、よしよし」


「ニャー♡」


「完全にネコになってる。かわいい」


 何がどうなってこうなったのかよく分からないが、なんとなくいい雰囲気になってるから良しとしよう。

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