アリエッタをお引き取り願います
〜地底〜
「…地下は流石に暑いな。本当にここに建物なんてあるのか疑問だが…」
箒に乗った俺は1人で地底まで来ていた。何故かといえば、問題児のアリエッタの探す為である。ほっとけは何するか分かったもんじゃない。
しばらく飛んでいると、巫女が言ってた通り建物が見えてきた。どうやらあの巫女が言ってた事は嘘ではなかったようだ。
正面門の前に着き、とりあえず訪ねてみる事にしたのだが…この建物、やけに大きい。門から玄関まで恐らく数十mはある。屋敷は、敷地の真ん中にドーンと建っていた。
「すまん、誰かいないか?」
無断で入る訳にもいかないので、とりあえず大声で呼んでみた。すると、玄関がガチャっと開き、誰かが猛ダッシュでこちらに飛んできた。
「ひひひ引き取っておくれあの怪物を………」
「…アリエッタ来ちゃってた?」
あー…こういう時に限って予感的中するんだな。それにしても心底ビビってるじゃないか。
「何があった?」
「あの子お空と遊んでたんだけど、巻き添え食らって死にかけた…」
「そうか。よくある話だな」
「そうなの……ってアホか!よくあってたまるか!」
「実際そうなんだって。とりあえず入れてよ」
「そうだった。中でさとり様が待ってるよ」
これ以上は暑かったのでさっさと入れてもらう事にした。この屋敷は地霊殿というらしいが、「殿」と付くだけあって、外見だけでなく内装も豪華である。そしてやはり大きかった。
「待ってたわ」
胸の辺りに変な目がある1人の少女が俺を待っていた。
「さとり様〜、連れてきました」
「ご苦労様」
「様」呼ばわりされてるところからして、この少女がここの主らしい。こんな小さな少女が屋敷の主だなんて不思議な感じがする。
「全部聞こえてるわよ?」
「…へっ?」
「私は"悟り妖怪"なのよ。心を読めるわ」
「そうなのか。んじゃ隠し事は無駄だな」
「理解が早くて助かるわ。さくっと本題に入りましょう。あの子を止めて」
「今はお空とやらと遊んでいるらしいな?」
「ええ。核融合炉付近で遊んでいるから危なっかしいの」
今なにやら物凄い単語を聞いた気が。…核融合炉?なんだそれは。
「すまん、核融合炉ってなんだ?」
「あら?知らないの?」
まるで常識を知らないかのように言われた。
「説明は面倒臭いから省略」
「…おい!って、そんな事はどうでもいいんだが場所が分からない。案内をしてくれ」
「お燐、頼んでもいい?」
「えぇー………」
「後で美味しいおやつをあげるから」
「もちろんいいですよ!」
こうして案内して貰えることになったが、このとき俺は、どこの世界でもおやつで釣れるんだな、と思ったのであった。