ペット可
「最近、ペット可、超ふえたな~」
φは言った。
「猫ブームだからな」
χは答えた。
「選択肢が広がるのは良いことだ」
φはケイタイ端末で、好みのモノを捜していた。
「これなんか、どうだ12年・・・」
χは自分の端末をφに見せた。
「ちょっとな」
φは首を振る。
「そうか、お前はもう少し、年の行った方が好みだったな。
20年くらいの」
χは独り言のように呟く。
φは大きく頷く。
「あ~、これなんか好みバッチリだけど、ダメだ~。
うっかり、ペット可を見落とすと逮捕される」
「最近、条例厳しくなったよな~」
χも同意した。
「これだ」
φは声を上げた。
「どれどれ」
χはφの端末をのぞき込む。
「日本人、女性、21歳。
ペットとして、いいかもな」
φは頷く。
「良かった~。
ペット可で」
「でも、人間は知らないんだから、哀れだな。
ペットとして猫を飼うことで、
自分もペットにされることを」
χは言った。
「そんなことないだろう。
人間もバカじゃないから。
だったら、なぜ、自分たちが猫や犬を飼う権利があると思っているんだ。
自分たちが猫や犬より高等生物と思っているからだろう」
φは反論した。
「我々、宇宙神は、人間より高等生物だから、
ペットになってもいいと意思表示している人間を飼ってもいいんだ」
猫や犬を飼っている人間は覚悟した方が良い。
自分たちより高等な宇宙神にペット可とマーキングされていることを。