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魔人殺しと人殺し  作者: remono
序章 魔人と母
1/25

短い前奏

 曇れる空の下で、その殺戮は行われた。

 殺戮は、人の手による嵐のようであった。

 男も女も老人も子供も見境はなく、その街の動くもの全てがその動きを止め、生きるもの全てが生きることをやめた。

 そうして誰もいなくなった街で、一人の男が笑っていた。

 何がおかしいのか知らないけれど、笑っていた。

 そんな男をただ一人、じっと見つめている私は、生きているのか、死んでいるのか。


――――。


 いや、すでに死んでいたのだろう。男は私の肩に手をかけて、黄色の乱杭歯(らんくいば)を見せて言ったから。


「みんなお前のおかげだ。感謝する」


 男はそうして私の体をゆっくり左右に揺さぶった。

 私は、男がそうしているその間中、じっと黙って堪えていた。

 絶え間ない後悔と、泣きそうになる心と、止むことのない吐き気をただじっと、黙って静かに堪え続けていた。


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