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番外 今日は弓です

読んでくださってありがとうございます

 今日はアルフォード様と騎士団デートだ。


 まぁ簡単に言うと、凄い格好いいアルフォード様を訓練場にて見学した後で、一緒に街に行こうと約束したのだ。アルフォード様は今はとても忙しい。


「エリアル、今日は弓の稽古もやってるみたいね」


 一緒に来た王女であるセリナは、私と訓練場にくるまでこういうところに来ることはなかったようで、一緒にみていると楽しそうだ。今日はリリスも、勿論後ろにはリサもいて、賑やかだ。


「いつもはこの場所では剣の稽古が主なんだけど月読祭が近いから」


 月読祭は、秋の月綺麗な夜に行われる弓の大会がある祭りのことだ。私も初めてだから、よくわからないんだけど、そういう説明だけは昨日アルフォード様に教えてもらったのだ。


「月読祭ですか。お話によさそうですね~。次はだれを主人公にしようかしら」


 リサがウキウキしている。私はちょっと引きながら(狙われてるのはアルフォード様やお兄様や私だし……)、「楽しそうね」とだけ言っておいた。


「でも、エリアル。あんまり皆様上手じゃないのね」


 リリスが不思議そうに言う。後ろの騎士達がギョッとしているのに気付いたが、エリアルは知らない振りをする。だって、本当に下手なんだもの。


「そうね、動かない的外すなんて、どんな練習してるのかしら」

「あまり練習してないんじゃないですか」

 

 リサも的中率の低さから、結構酷いことをいう。


「あれなら、エリアルのほうが上手じゃないかしら」

「「ええ、エリアル(様)弓引けるんですか!!」」


 リリスの感想に、セリナとリサも声を上げる。


 もう、騎士達は下をむいてるよ……。


「弓はうちのお家芸ですよ」


 アルフォード様についてお兄様も来たようだった。


「ん、クレインの腕は凄いぞ。エリアルも弓は扱えるのか」


 二人はセリナに挨拶をして、話はじめる。


「一番の特技です。でもここでは披露する場所はありませんけどね」


 私が笑うと、アルフォード様はそっと頬に触れてきた。最近すぐにスキンシップをしてくるので、少し困ってしまう。きっと頬は赤くなっているだろう。


「俺のお姫さまはお転婆だな……」


 低い声で囁くのも禁止しないと、そのうち私は心臓の病で死んでしまうだろう。


「はいはい。それくらいで」


 クレイン兄様が間に入ってくれてホッとする。


「閣下、ここにはまだ成人されてないセリナ様もいらっしゃいますから、その色気ダダ漏れはおやめください」


 セリナだけでなく、リリスもリサも赤い顔になっている。本当に止めて欲しい……。


「そうだな、エリアル、少しその腕前を見せてくれ」


 アルフォード様に連れられて訓練場に入ると、凄い注目を浴びてしまう。確かにドレスを着てくる場所ではない。


「エリー、これなら使えるだろう」


 髪を解いて、後ろでまとめる。顔の横に髪があると痛むだけでなく狙いも変わるので、普段狩りをするときも、一つにまとめることにしている。

 お兄様が、見習いの少年から手袋と弓矢を借りてきた。

 弓は、勿論強い張りのほうが矢の軌道が真っ直ぐになるのでいいのだけど、女の力ではやはり限界がある。お兄様がいのししや鹿を仕留めることを得意とするのは、やはり私より力の強い弓を引けるという理由からだ。


「お借りしますね」


 と騎士見習いの少年にいうと、少し不満そうだったが、文句は言われなかった。


「あれでいいのです?」


 私は馬に乗って弓をひくことが多いので、斜面という身体の正面ではなく、頭の先から引く形になる。大きく、引く。コツは、力ではなく、骨で引き分けるという感じだろうか。ギリギリと引き絞るとそのまま肘を後ろに引く。

 風を斬って、矢は的に吸い込まれていった。


 ――トン!


 と心地いい音がする。狩りとは違う楽しさだろう。獲物の断末魔もない、肉を裂く音もない。


「お見事!」


 真ん中に刺さった矢を見て、アルフォード様が声を掛けてくださった。


 おお――と、野太い歓声が上がる。


「エリー」


 お兄様が木片を放り投げる。すぐさま矢を番え、木片の軌動を計算する。


 ここだ――。勘というのは何度も練習してきた上に成り立つものだとエリアルは思っている。焦ってはいけない。いつものように、心を乱すことなく、思い描いた場所を狙う。


 ――パン!と弾ける音がして、木片が木っ端微塵になって散った。


「凄いな……」


 アルフォード様の感嘆の声が聞こえたきり、訓練場はシンと静まりかえっていた。

 その静けさを破るように拍手が聞こえて、それは段々と大きくなっていった。


「エリー、もういいよ」


 お兄様は、会心の笑顔だ。


「ありがとうございました」


 と少年に弓矢と手袋を返すと、興奮したような顔と声で「素晴らしいです。今度コツをおしえてください」と称えてくれた。なんだかとても嬉しい。微笑むと、少年は真っ赤になってしまった。


 何かやらかしたかしら……? 


「お前ら、令嬢に負けてる場合じゃないぞ」


 レイル様が発破をかけ始めた。おお――!気合の入った返事をしてるから、これでよかったようだとホッとした。


「ありがとう、エリアル。中々やる気出さないうちの連中もこれで本気になるだろう」


 ですよね~、やる気なさすぎですよ。


「エリアル、格好良かったわ。あんな特技もあったのね」

「やっぱりエリアル素敵だわ」


 セリナとリリスが嬉しそうに抱きついてくる。


「今度のお話はエリアル様で決定ですね」


 リサがそんなことを言う。


 お願いします。止めてください……。


 リサの盛り上がりが一番怖ろしく、一番激しい。

花を手折るが、予約投稿のはずが、でちゃいました。何度やったら気がすむのかしらと、情けないです。

ラブラブじゃないのも楽しいですw。

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