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番外 お姫様の趣味は読書です

今日は嬉しいメッセージを頂きました。書き方についておしえてくださってありがとうございました。読みやすくなればいいなと思います。

「セリナ様、セリナ様?」


 侍女の声が聞こえて、サラマイン王国第一王女であるセリナはぼんやりとベットから起き上がった。


「リサ、昨日は遅かったのよ。もう少し寝かせてもらえないかしら」


 無理だろうなとおもいつつ、提案してみる。


「また読んでらしたのですね。あんまりお寝坊なさるようでしたら、王太子妃様に言いつけますよ」


 それはいけない。それだけは止めて欲しいので、眠いのをこらえてキチンと佇まいを直した。


「セリナ様、今日は噂のアゼル子爵クレイン様の妹君がいらっしゃるのでしょう?きっと麗しい方でしょうね~クレイン様のことを色々窺えるんじゃありませんか」


 リサはセリナの髪を櫛梳り、髪型を整えて、ドレスを着せていく。その間今日セリナの話し相手として王宮に来るクレインの妹について色々と喋っていた。 

 セリナは聞くほうが好きなタイプだったので、リサはちょうど良かった。少し王女の侍女としては気品にかけるかもしれないがセリナは楽しくて気に入っていた。


 先週のことだ。母親である王太子妃が、セリナのために話相手を連れてくるといった。


 第一王女とはいえ、跡継ぎには弟のサリアムがいて、幼いながらも華やかな二人の双子の妹がいて、地味なセリナは地味ながらも堅実に生きていこうと小さいころから大人しく、控えめでよく忘れられる存在だった。もちろん、母がセリナを忘れることはなかったが、将来は王妃となるのだから、公務だけでも忙しい女性だ。

 地味なセリナを心配して、友達を作ってくれようと何度か侯爵の令嬢だとか伯爵の妹だとか子爵の婚約者だとか男爵の幼馴染だとか、年齢を選ばず数々の女性を紹介してくれた。


 そして、数々の女性に人気だったのが、今日お会いする伯爵の娘の兄、アゼル子爵のクレインだった。その人気はとどまることを知らない。


 少しウェーブのかかった金の髪は細く艶やかで肩の辺りまであるのだが、いつも赤いリボンで小さな尾っぽのように後ろにまとめて留めている。

 緑の瞳は長い睫で少し影を映して、深い森の色をしている。

 彼の所属しているのは騎士団、まさに屈強な漢の巣窟だ。

 セリナなどは恐ろしくて騎士団のあるあたりに出向くことはなかった。

 もちろん騎士達はセリナを王女として大事にしてくれるし、護ってくれる。それでもまだ十二歳のセリナは、ごつい騎士たちに傅かれることが苦手だった。

 

 クレインは、違う。ごつくない。そして、動作も洗練されていて、女性に優しい。いや、他の騎士たちが優しくないとはいわないが、雰囲気がもう違うのだ。


 クレインは、十年ほど前の戦で将来自分が受け継ぐ領地を護ってくれた軍務司令官であるアルテイル侯爵を尊敬しているそうだ。もちろんお爺様である国王陛下に忠誠は誓っているのだけど、アルテイル侯爵のためにも死ねると公言しているそうだ(噂の元はどこかの貴婦人にそういってたと侍女たちの話からだとリサから聞いた)。自分たちを見てくれないジレンマはあるけれど、女性は本来美しいものには寛容だ。

 いつの間にかクレイン達騎士を題材にした小説が王宮で流行り、クレインとアルテイル侯爵の愛を支持する会が生まれた『薔薇の園の会』という。

 セリナは、お友達になった男爵の幼馴染にその小説を借り、読み耽り、今や立派な会の一員になっている。

 今日はそのクレインの妹がくるのだ。リサでなくてもテンションが上がるものだ。ただし、セリナはテンションが上がっても、そうは見えないらしいのだが。



 いらっしゃったクレイン様の妹のエリアル様はとても綺麗な方だった。髪の色も瞳の色もそっくりなのに、何故こんなに雰囲気がちがうのだろうかと思う。クレイン様が夜に浮かぶ青白い月光のようなのに、エリアル様は光り輝く太陽のようだった。

 

 『薔薇の園の会』のことを告げる勇気はなくなった……。


「エリアル様、『薔薇の園の会』のこと知ってらっしゃいますか? 」


 勇気がなかったのに、侍女のリサはバーンと本の挿絵を手にセリナが諦めた話題を振ってきた。この空気を読まない侍女のおかげで、危うく紅茶を噴出しかけたが、なんとか未然にふせげた。


「あ、リサ駄目じゃない」


 珍しく叱責したが、リサは堂々とその本をエリアル様に見せていた。

 エリアル様は固まって、少し青ざめると、恐ろしく低い声で、


「お兄様……許すまじ! 」


とおっしゃった。セリナは怯えた。今まで、可憐な花か太陽かと思っていたエリアル様の憤怒の顔は、今まで知り合った女性の中で一番凶暴そうだったからだ。


 ざっと本をめくっていくスピードはとても速かった。


「あの馬鹿兄貴……」


 怖い……。


 めくられる音が途絶えて、エリアル様は微笑まれた。


「大変興味深いですわね。でも……、もの足りませんわ。もっと、もっとお兄様を沢山の方と仲良くさせるべきではありませんこと? 」


 きっと叱責されると思っていただけに……、リサは喜び、セリナはそのエリアルの据わった目に恐怖する。


 アルフォード×クレインなんて許せない……。兄のことはどうでもよかった。だって、クレイン自身が女性よけの弾幕として使っているといっていたもの。

 でも、アルフォード様は違うだろう。


 クレインにしてみれば、自身の弾幕として使えるのも有難かったが、アルフォード様にも同じ効果を期待していたのだろう。でも大好きなアルフォード様がクレインを愛するなんて、お話の中でも許せなかった。アルフォード様を護るためになら、物語の中のクレインの貞操くらいいくらでも売ってやろうと決意したエリアルだった。



 ここで、『薔薇の園の会』はエリアルという強力な力添えを得るのだった。



読んでくださってありがとうございます。今までは、自分の思いつくままに書きなぐってきましたが、読んでくれる方が少しづつ増えてきているようなので、見直して行きたいと思います。ごめんね☆

明日はお休みいたします。すこしづつ誤字などを手直しして行こうと思っています。

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