声もなく
君の前で
いつも僕の声は出ない
伸ばした手と
君の名を呼ぼうとした声は
喉の奥で絡まって
吐き出せないまま
開きかけた唇は力なく閉じ
矛盾した感情
言葉にした端から
想いが零れてしまいそうで
いくら言葉にしても
想いの欠片も伝わりはしない気がして
ぐるぐると廻る想いは喉に張り付いたまま
端と端を繋げて環になって
僕の中に反響する声が
君への熱を加速させ
声は出ない
ただ俯いて
内側から火照る顔を悟られないように
言葉の代わりに吐息を漏らし
君の袖を小さく引いて
君の前で
いつも僕の声は出ないけれど
言葉にできない無音の想いが
いつかきっと君に届くようにと
何度も何度も
熱い声を
また
僕は呑み込む