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出会い
小舟に近づいて行くと、予想より結構な距離があった。
「こんくらい、平気よっ!」
暦は足に力を入れ、大きく飛びーー
次の瞬間
ーザブンッと大きく波打ち、暦といえば無事に小舟に着陸。
が、たった今の波のせいで船が揺れ、乗っていた漕ぎ氏はなんとか波を避けたものの、もう一人の乗客である少年は交わしきれず頭から肩までびしょびしょ。
「あぁっ!す、すみませんっ」
あわてて少年の方に近づいたもののどうしていいかわからずおどおどするばかり。
「あ、大、大丈夫です。」
少年は苦笑いをしつつ、顔をあげて暦の方を向きながらひとつに束ねた長い藍色の髪を絞り始めた。
「お嬢ちゃん、そんな慌てなくてもちゃんと陸に近づけてやったのに。せっかちやなぁー。」
と少し髭を生やした漕ぎ氏の中年男性が言った。
暦は少し顔を赤らめ、恥ずかしそうに
「...すみません...。」
と、言いながら頭をかいた。