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やっと両親登場。名前迷いました・・・

サラ視点です。



「あぁ、サラ、サラ。本当に良かったな」




そう言って私を抱きしめてくれたのは、父親でオイレンブルク侯爵家当主だ。


心なし、目が潤んでいるのは・・・気のせいだろうか。




あれからトントン拍子に話が進み、1ヵ月後に宮廷で行われる、貴族子女を対象としたパーティーに参加することになったのだ。


今は父母と夕食後のお茶を楽しみながら、その報告をしている。



ちなみにジン兄様とカイ兄様はすでに宮殿にお戻りだ。

オイレンブルク領は幸いにも、宮廷領とそんなに離れていない。

カイ兄様が愛馬をすっ飛ばしてくれば2時間ほどで着く距離だ。







「本当に。ですが、くれぐれも気をつけるのですよ。あぁ、本来ならもっと早くに耐性をつけておかねばならなかったものを・・・。本当にあの子たちったら」




母様が言う『あの子たち』とは、兄様二人のことで間違いないだろう。


かたや次期宰相、かたや親衛隊副隊長にまでなった兄様のことを『あの子』って言えるところが・・・母様らしいというか。


三児の母親とは見えないほど、肌もつややかで金色の髪も豊かに波打っている。


母様のように頭の回転が早く、聡ければ、きっと貴族の方たちの中にいても問題なく過ごせるのになぁ・・・と思う。



「それにしても、よくあの子たちが許してくれたわね?」


母様の言葉に、父様も身を乗り出す。



「あぁそうだ。今までどんなにジンやカイに促してみても、首を縦に振らなかったというのに・・・」


「あら、あなたの場合、ジンに逆に言い負かされて最終的にはいつも納得されていましてよ」


母様がからかうように笑うと、父様はバツの悪そうな顔をした。



「あいつはどうしてか、昔からよく口が回るというか、相手の弱点を見抜いて痛いところを突く力があるというか・・・」



父様、それって決して誉められた特技じゃないような・・・。

それに、弱点?父様は何か弱点を握られているのかしら。


ジン兄様、実の親にまでこう思われているって、よっぽどなのね。




「それで?サラ。一体どう言ってあの二人を納得させたの?」



「特別なことはしてないわ。ただ、お願いをしただけ」



両親には割愛してしまったが、『お願い』の前にいろいろあった・・・。


もう思い出さないようにしよう。私が恥ずかしいだけだから。





「お願い?・・・・『お願い』ねぇ・・・」


父様はまだぶつぶつ言ってる。


「あなたがあの子たちに『お願い』しても、無理よ」


母様がバッサリ切り捨てる。



母様・・・強いわ。

こうやって仲の良い(?)両親を見ているのが好きだ。



それに、母という存在がまた出来た。

沙羅としての生みの親はもう亡くなってしまったから、余計に嬉しかった。







「さぁ、そうと決まれば、ドレスを選ぶわよ!」



のほほんと両親のやり取りを見ながらお茶を飲んでいたら、母様が勇ましく立ち上がった。



「え?母様?」



「どうしたんだ、お前、急に・・・」



父様も突然の母様にビックリしている。




「あらだって、今までサラのお出かけがなかったものですから、娘を着飾る機会がほとんどなかったのよ!これぞ母親の醍醐味!美しい娘の晴れの日を完璧にして送り出すのよ!こんな日が来ることをどれほど楽しみにしていたことか・・・。あぁ、わたくしったら楽しくなってまいりましたわ。俄然やる気が湧いてくるというものです!さぁ、ミリー!腕の見せ所ですわよ!」



「はい!奥様!!」




母様の熱弁に呆気に取られている私とは対照的に、部屋の隅にひかえていたミリーは即座に反応した。


ミリーもなぜそんな気合が入っているの・・・。




「あの、母様、あと一ヶ月も先のことですから・・・」


「何を言っているの。一ヶ月なんてあっという間よ。サラ、いい?女性にはそれはそれは準備が必要なものなのよ」


「そうですか・・・」




どうしよう、この迫力に何も言い返せない。


父様を見れば、なにやら暖かい眼差しで母様を見ているし。まるで『良かったな、お前』とでも言っているかのようだ。



私の視線に気付いたのか、父様は私を見つめる。




「サラ、楽しんでくるんだよ」




あぁ、『粗相のないように』とか『貴族令嬢としてのマナー』云々言う事もなく、

ただ私が楽しむことだけを考えて声をかけてくれる父様。




「はい」



だから私も微笑んで返事を返す。





「今から仕立て屋を呼ぶとして・・・間に合うかしら」


「奥様、アクセサリーはいかがいたしましょう」


「ドレスに合う、品の良いものを選びたいわ」


「それではさっそくいくつか手配させます」




母様とミリーは既に相談しあっている。


そんな二人を見つつ、父様とこっそり笑みを交わす。














かくして、一ヶ月は怒涛のように過ぎたのだった。



サラちゃん、いよいよ出発です。

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