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プロローグ

「友瀬明くん、私とお付き合いを前提にした恋人未満の関係になってください」


 放課後、夕陽に照らされた教室で僕はクラスでもトップクラスで人気の宮森朱里にそんな告白をされた。正直なところ、嬉しさ半分戸惑い半分といったところだ。


「正直に聞くのもなんなんだけどさ、あえて恋人からスタートしないのはどうして?」

「それは・・・・言えません、出来れば詮索もしないで欲しいです」

「んーーそっか」


 僕は思わずその場で考え込んでしまう。これは何かの罰ゲームに巻き込まれているのかとか、宮森さんが僕を試していて、返答次第では嫌いになったり噂として流すんじゃないかとか。

 

 いやいやと僕はそこで思考を切る。宮森さんはそんな陰湿な女の子ではない。


 確かに周りに強烈なオーラを放つようなタイプの美少女ではないのは事実だ。艶やかなロングヘアは黒く、穏やかでややたれ気味目元や立ち居振る舞いは物腰柔らかで清楚な雰囲気を強く印象付ける。


 正直者で頭が良く、普段は控えめだけどたまにそれとなく笑ったり、積極的に話したりする。いわゆる愛されキャラなのだ。そんな宮森さんが隣の席ではあるものの、ほとんど接点らしいものがない僕にこんな告白をしてきているのはどういうことだろう。


「あの、戸惑いますよね・・・・。私も自覚してるんです。言えないけれど、友瀬くんは覚えていないかもしれないけどちゃんと理由も接点もあるんです」

「私、その、不器用だからこういう形でしか告白できなくて・・・・ごめんなさい」

「いや、別に謝らなくてもいいけど、告白自体は嬉しいし」


 僕が頭を軽くかきながらそう言うと彼女は「じゃあ」と期待をにじませた瞳をこちらに向けてきた。


「うん、分かった。でも本当に恋人になるってなったら隠し事はなしにしよう。出来ればその過程で」

「はい、あの私こういう関係初めてで不慣れなこともありますがよろしくお願いします」


 ここから、宮森さんと僕との少し甘い関係が始まるのか、とその後の帰り道少し心が躍っていた。なにせ将来、おそらく高校卒業までにクラスで人気の女子とお付き合いをすることが前提なのだ。不安要素や不可解なことはあるにしても心が弾まないわけがない。


 だけど──翌朝、教室で接した彼女の態度に僕はこの関係の難しさを思い知ることになる。

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