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デバイスダイバー

デバイスダイバー4

作者: 星野☆明美、chatGPT

機密データを巡る依頼の最中、俺とアイボーの前に現れたのは――黒いヴェールをまとう謎の女ダイバー。

冷たい視線と共に同じデータを狙い、対立する二人。

だがウイルスの罠に巻き込まれたとき、彼女は思わぬ行動に出る……。


近未来SF短編シリーズ第4弾。


デバイスダイバー4 ―黒きヴェール―


「ご主人、通路が二つに分かれてます!」

 アイボーが球体をくるくる回しながら、矢印アイコンを表示する。

「どっちに行きます? 右は安定してるけど、左は……なんか、ぞくっとします」


「ぞくっとする方に真実はあるもんだ」

 俺はため息まじりに左を選んだ。依頼は「機密契約に関わる古いデータを探してほしい」というもの。厄介そうな依頼には慣れている。だが、この空気はいつもと違う。


 暗い通路を抜けた瞬間――。


「遅かったわね」

 黒いヴェールのような光をまとった女が、そこに立っていた。

 目元だけをのぞかせたマスク。声は冷たく低い。


「誰だ、お前」

「同業者。……そうね、ライバルとでも呼んで」

 彼女は視線をそらさずに答えた。


「ご主人! 女性です! しかもミステリアス! こわいけどキレイです!」

 アイボーが場違いに騒ぎ、俺は思わず額を押さえる。


「悪いが、ここから先は俺の依頼だ。引き返してもらう」

「それはこちらの台詞。真実を追うのが、私の依頼よ」


 互いに一歩も引かず、同じデータを狙う。

 だが、その瞬間、床が裂けて黒い渦が開いた。


「ウイルス!?」

「ご主人、引き返しましょう!」

 アイボーが青ざめアイコンを浮かべる。


 足元が崩れ、俺の身体は渦に吸い込まれかけた。

 必死に腕を伸ばすが、指先は虚空をつかむ。


「チッ……」

 女が舌打ちし、手を伸ばしてきた。

 冷たいはずの指先が、驚くほど強く俺を引き上げる。


「助ける理由はないはずだろ」

「……気まぐれよ」

 吐き捨てるように言いながらも、その目はかすかに揺れていた。


 二人で協力し、ウイルスの渦を封じ込める。

 残されたのは、依頼人が欲していた機密データ。


「渡せ」

「嫌よ。これは私が持ち帰る」


 火花を散らしながらも、結局はそれぞれ別のコピーを手にする。

 そして別れ際――。


「なぜ助けた?」

 俺の問いに、彼女は黒いヴェールを揺らしながら言った。

「理由は、あなたが知る必要はない」


 背を向けて去っていく彼女を、アイボーが見送る。

「ご主人、これは……恋の始まりですか!?」

「バカ言え」

 俺は苦笑し、アイボーを抱えて通路を後にした。


 胸の奥に、さざなみのような違和感を残しながら。


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