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第4章 魔術師との邂逅


 クリス「な、何だ!?」


 謎の少女「いいから、黙って付いて来て!」


 少女は、クリスを真っ暗な部屋の奥まで強引に引っ張っていき、キッチンにある冷蔵庫の前で立ち止まった。


 クリス「お腹でも空いているのか?」


 謎の少女「違うわよ!バカ!」


 少女は詠唱を始めた次の瞬間、冷蔵庫の中から青い光が差し込んで、部屋が青く照らされた。そこには、手配書に描かれていたイラストそっくりの少女がいた。ミディアムショートの赤髪で、いかにも魔法使いらしい年季の入った茶色のマントを身に纏っていた。


 魔術師の少女「さぁ、入って入って♪」


 少女は、得意げな顔で手招きをした。冷蔵庫の中を覗くと、下まで続く階段があった。下までかなりの距離があるのか、声がよく響く。


 クリス「おお!空間魔法か!これはすごい!」


 魔術師の少女「フフン♪でしょ?あっ、そうだ!念の為聞くけど、仕事の面接に来た人であっているのよね?」


 クリス(今更聞くのかよ・・・ てか、やっぱりここが面接会場なのか。何か訳ありって感じだな。)


 クリス「そうだが、もし人違いだったらどうするつもりだったんだ?」


 少女は、ハッとした表情をしてうろたえた。


 クリス「フッ、"お尋ね者"なのに、随分と不用心なんだなwよくこれまで捕まらなかったもんだw」


 次の瞬間、少女はクリスの喉元にナイフを突きつけた。先程までの友好的な態度から一変して、その目は殺意に満ち溢れていた。


 魔術師の少女「やっぱり人違いだったかしら?こんな所じゃ、誰も助けに来ないわよ?」


 クリス「...安心しろ、俺は魔法使い。いや、魔術師だ。仕事の面接を受けにここにきたんだよ。」


 魔術師の少女「ふぅん?」


 少女は眉間にシワを寄せて、頬を膨らませた。不服そうではあるが、ナイフをしまい、警戒を解いた。


 クリス(俺と同い年くらいに見えるが、"護身用"のナイフを持ち歩いているなんてな・・・過酷な生活を送っているのは想像に難くない。しかし・・・ )


 クリス「ミサはぶりっ子なのか?頬を膨らませる人なんて初めてみたぞw」


 ミサ「な"っ!?何で私の名を!?あと、馴れ馴れしく私の名前を呼ぶなぁ!」


 クリス「何でって... そりゃあ、手配書にお尋ね者、ミサ・ウィンスレイドって書いてあったからな・・・」


 ミサ「あっ!そっか・・・そうだったわね。」


 クリス「ははっ、ぶりっ子で天然なんて、属性盛りすぎじゃないか?w」


 ミサ「うるさいわね!さっさと下まで降りなさいよ!」


 クリス「もう1番下だが?」


 ミサ「・・・」


 ミサは、クリスの頬を両手で思いっきり引っ張った。

 

 クリス「イテテテ!ゴメンって!謝るよ!からかうのは、俺の悪い癖なんだ!」


 ミサは手を離すと、そっぽを向いた。


 クリス「自己紹介がまだだったな。俺の名前はクリス。魔術師をやっている。よろしくな。」


 クリスは、ミサに手を差し伸べた。するとミサは、ニヤけながら握手した。


 ミサ「フフ、よろしくね、ぶりっ子魔術師くん♪」


 クリスの両頬は、ミサの手によって真っ赤に腫れ上がっていた。


 クリス「わ、悪かったって・・・」


 ミサ「馬鹿やってないで早く進むわよ!」


 クリス「ま、待ってくれよ!」


 ちょうど2人が並んで通れるくらいの廊下を30メートルくらい進むと、外のように明るい空間に出た。住宅らしき建物がまばらに広がっていて、天井は15m程あり、奥行きが100mくらいある広い空間だ。


 ミサ「ようこそ!魔術師の拠点、"グラベルタ"へ!」


 ミサは、振り返りながら言った。


 クリス「驚いたな、街の地下にこんな広い空間があったなんて・・・」


 ミサ「この街にいる魔術師はみんなここを拠点にしているのよ。しかし、トニーさんに会えたのは運がいいわね。この街は他の街に比べてかなり監視の目が厳しいから、彼の力無しでここまで辿り着くのはかなり大変だったはずよ。」


 クリス「ああ、そうだな。本当に感謝しているよ。」


 クリス(これで合点がいった。トニーさんが何か隠し事をしていたのは、監視にバレないよう、密かに魔術師に協力する為だったのか・・・ん?)


 クリスは、ミサの背後に目元だけ出してこちらをジーッと覗いている少女がいることにに気づいた。


 クリス「なぁ、こちらを覗いているあの小動物みたいな子は、仲間なんだよな?」

 

 ミサ「え?...あぁ!もちろんよ。おいで!」


 ミサが手招きをすると、茶髪のショートボブの少女が両手を広げながら忍び足で近寄ってきて、ミサの手を握った。ミサと同様、茶色のマントを纏っているが、身長が140cm程しかないため、マントがブカブカである。


 ミサ「紹介するわ。この子はアロエ・リュノー。魔術師仲間で、私の幼馴染よ。」


 クリス「初めまして、魔術師のクリスだ。」


 クリスが手を差し伸べると、アロエはクリスの手をペチンと弾いた。


 アロエ「(ジトー・・・)」


 クリス(・・・)


 クリスはもう一度手を差し伸べてみるが、またもアロエはクリスの手をペチンと弾いた。


 アロエ「(ジトー・・・)」


 クリス「よ、よろしく・・・」


 アロエは、コクリと頷いた。


 ミサ「...プフッ!w」



続く 


 


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