第2章 アナザーワールド
クリス「・・・ここは?」
辺り一面、何もない空間でクリスは周りを見渡していると、突然目の前に見知らぬ女性が現れた。
謎の魔法使い「さっさと起きな!この空間にいられる時間はそう長くないんだ!」
クリスは突然声を荒らげる女性に驚いて、慌てて腰を上げた。
謎の魔法使い「突然だけど、あんたをこれから異世界に転送する。これ以上魔法使いの顔に泥を塗られるのは耐えられないんでね。」
クリス「ちょっと待ってくれ!ここはどこなんだ!?貴方は一体何者なんだ!?それに異世界って・・・。」
リン「私はリン・スコット。あんたの先輩魔法使いさ。」
クリス「り、リン・スコットさん!?もしかして、ユウリさんのおばあ様で、アメロ王国とゼノシア王国の和平交渉に多大な貢献をされたあの偉大な魔法使いですか!?」
リン「流石よく知っているね。ユウリのスt、熱烈なファンなだけある。」
クリス「な、なぜそれを!?」
リン「アンタのことは異世界からずっと見ていたよ。人々を助けるどころか、周りの人達に甘えているへっぽこ魔法使いは異世界で修行が必要だと判断した。」
クリス「で、ですがそれでは急にいなくなって子供達も心配しますし、あと1年で修行期間を終えて選択の儀式をする必要があります!それに甘えてなど・・・」
リン「時間切れだ、新しい世界でせいぜい頑張りな。あとね、」
次の瞬間、クリスの視界がどんどん暗くなり、凛の声も遠のいていく。
リン「時間が無いのはアンタだけじゃないんだ」
クリス「それはどういう意m」
視界が暗転してからどれくらいの時間が経過しただろう。気づいたら木陰の下で仰向けになっていた。
クリス「いつの間に外に出たんだ・・・。そうか、これが異世界。」
(辺りを見渡す限り、何もない草原が続いている。とても美しいが、まずはこの世界の情報を集める必要がある。まずは街を探そう。)
クリス「何となくこっちに街があると、自分の直感が言っている。もしかして、異世界に来て新たな能力が目覚めたのかな?」
数分歩いていると、前から馬車に乗った中年の男性がやって来る。クリスを凝視した後、心配そうに話しかけてきた。
中年の男性「アンタ、手ぶらに見えるけど、アイテムボックスは持っているんだよな?」
クリス「えっ、アイテムボックス?何ですかそれは。」
中年の男性「死ぬ気か!いいから馬車に乗れ!アンタに拒否権はねぇ!」
(男性の話を聞いていると、どうやら俺が歩いていた方向は街とは正反対の方向だったようで、あのまま歩いていたら、3日間草原を歩くことになっていたらしい。今後は自分の直感は信じないことにしよう。)
トニー「俺はトニーっていうんだ。見ての通り行商人をやっていて、この先の街に荷物を運んでいるところだ。アンタの名前は?」
クリス「俺の名はクリス。魔法使いをやっている。田舎出身でこの世界の事を何も分かっていない。よければ街に到着するまでの間、この世界について教えてくれないか?」
トニー「おっ、独り立ちか!いいねぇ!行商人の俺から言わせてもらえば、田舎から出てきたての若者なんて通貨の価値が分からない絶好のカモだ。だからまずは、通貨の価値を教えてやるよ。」
(この世界では、リンゴ1つが大体銅貨1枚で買える値段らしい。銅貨10枚で銀貨1枚分、銀貨10枚で金貨1枚分、そして、金貨1000枚で白金貨1枚分らしい。)
トニー「街で暮らしていくにはとにかくお金がかかるが、特に宿代だ。まずは仕事を探すんだな。さっきマホウツカイとか言ってたな?もし、腕に自信があるなら荷物の運搬がおすすめだな。比較的安全で給料も悪くない。街の中央の職業安定所にいくんだな。」
クリス「ありがとう、行ってみるよ」
(トニーに色々聞いていたら、街が見えてきた。だけど、何だろう?外観といい、門番の人といい、やけに物騒だ。街というより、砦のようだ。)
トニー「いいか、街に入るまでオマエは一言も喋るなよ。」
トニーのその一言で緊張が走ったその時だった。
門番「そこの馬車!止まれ!」
続く