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 相変わらず固いパンとよく分からないスープの昼食を済ませた後に呼び出された壕の中には、大佐とシュメルツァー大尉、さっきも見た軍曹が待っていた。大佐が正面、大尉が右側。軍曹は別の机に紙束を広げて座っている。裸電球で照らされたそこは、どう見ても尋問室だ。

「時間通りですね。中尉、どうぞそちらへ」

 大佐がにこやかに正面の席を指し示す。ユーリアとスザナが付いてきてくれないかなと思ったが、彼女達は指示がなければ基本的に外で待機だ。諦めて言われた通りに席に着く。カツ丼出ないかな。こっちに来てから揚げ物って全然食べてない。

「さて。本日はいかがでしたか?」

 まずはオープンクエスチョンから。基本通りで素晴らしい。何で呼び出されているのか分からない状況下で何を答えるべきか。ヒントを探して大尉をチラ見するが、表情からは何も読み取れない。

「大尉は今後貴方の直属の上官となりますし、今後のために同席してもらいました。軍曹は私の秘書官ですのでお気になさらず。この場の会話が外部に流出することはあり得ませんのでご安心ください」

「はい」

 大佐の様子からして、何かに気付いてそれを話させたい感じだろう。今日の出来事だったらまず間違いなく私の力の件だ。敵まで守ってたのがバレたか。

「ええと…戦闘というのがあんな感じなんだなと、思いました」

 小学生並みの感想にも大佐は笑顔を崩さない。怖い。

「ほう。と言うと?」

「その、実際に戦場に立つのは初めてだったので。ええと、はい」

 しどろもどろな私の発言を軍曹がメモしていく。記録取らなくていいから。今のに何の価値も無いから。

「コートリー中尉。何か勘違いされているようですが、これは尋問ではありません。気楽に話していただければ」

 嘘だ。「責めてるわけじゃない」と断ってから話す人は大抵ブチ切れててガン詰めしてくるんだ。知ってるもん。私の様子を見た大佐が大尉と顔を見合わせる。裸電球がただでさえ彫りの深い2人の顔を強調していて、圧が凄い。

「質問を変えましょうか。今日の戦闘で共和国軍が使用していた砲について、中尉はどのような種類のものだと考えましたか?」

「ええと、迫撃砲?」

 今度は質問の範囲を絞ってきた。やっぱり尋問じゃないか。顔に卑屈な笑みが浮かぶのが分かる。

「ふむ。帝国軍には敵の新型速射砲についての情報はまだありません。中尉はどのようにして、その迫撃砲なるものの存在を知り得たのでしょうか?」

 そっちか!そういえば大佐が新型の砲がどうのって言っていたような。いや私も映画とかに出てくるから知ってただけだ。どう答えたらいいのか分からず黙り込む私に、大佐が身を乗り出してくる。

「単刀直入に申し上げましょう。中尉の知識は、『貴方の世界』に由来するものですね?」

 最後はクローズドクエスチョン。大佐の静かな目には読み取れる感情は無い。深く静かな、奥底に狂気を湛えた目。

「…はい」

 ふーっと吐き出した息と共に力も抜ける。もういいさ。何でも答えてやろうじゃないか。

次回、現代知識無双?です。

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