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今川義元から無慈悲な要求をされた戸田康光。よくよく聞いてみると悪い話では無い。ならばこれを活かし、少しだけ歴史を動かして見せます。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
桶狭間の戦い

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外聞

 その頃……。


今川義元「左衛門佐!左衛門佐は居らぬか!?」

松井宗信「殿!左衛門佐はこちらに御座います。如何為されましたか?」

今川義元「この雨では叶わぬ。一度、休憩する。」

松井宗信「いえ、ここは危険であります。大高とまでは行かぬとも、せめて朝比奈の居る鷲津までの御辛抱を。」

今川義元「ならぬ!見よ。わしが乗っている輿を。水浸しでは無いか。斯様な物に座り続けるなぞ我慢ならぬ。屋形にするべきであったのぉ?」

松井宗信「……そうでありますね。しかし信長が攻め寄せて来るやも知れませぬ故。」

今川義元「奴なら今頃清州で震え上がっている事であろう。」

松井宗信「中島や善照寺から撃って出る恐れも御座います。」

今川義元「信長は既に鷲津と丸根を見殺しにしている。信長に外聞は無い。斯様な者に味方する愚か者等居らぬ。大高に入ったら元康に向かわせる。後は勝手に自滅していく。心配致すな。」

松井宗信「……わかりました。」


「殿!近隣住民より酒が届きましたぞ!!」

今川義元「ほおら見て見よ。尾張の民の心は既に信長には無い。」

松井宗信「雨が上がりましたら、すぐに隊を動かしますよ。」

今川義元「わかっておる。しかしこの雨の中では身体が冷えるであろう。折角頂戴した酒である。皆に振舞おうでは無いか。」


 そこへ……。


森可成「間に合いましたな。」

織田信長「鷲津に入られては厄介であった。」

森可成「この雨で行列を中断していましたか?」

織田信長「……そうかも知れぬな。」

森可成「ここが敵地である事も知らず。」

織田信長「大高を餌にした甲斐があったと言うものだ。」

森可成「御意。」

織田信長「しかし鷲津と丸根を助ける事が出来なかった。中島砦から出た者共も……。」

森可成「(中島砦から出撃した)佐々と千秋は抜け駆けであります。気にしてはなりません。」

織田信長「……そうであったな。ただこのまま引き下がってしまっては、私に従っている者共が離れしまう事になる。是が非でも奴を討ち取らなければならぬ。」

森可成「御意。それにあれを見て下され。」

織田信長「ん!?」

森可成「敵兵の数であります。これでありましたら、ここに居る者共でも十分渡り合う事が出来ます。この好機。逃してはなりませぬ。」

織田信長「わかった。朝比奈に気付かれぬ前に始末するぞ。」


 今川義元本隊の兵数を確認した織田信長は、

「我に勝機あり!!」

と味方を鼓舞すると突撃を敢行。織田信長により不意打ちに、雨を凌ぐため避難していた今川本隊は大混乱に陥ったのでありました。

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