織田信広の処遇
駿府。
「変わりありませんか?」
戸田忠次「これは雪斎様。お久しぶりに御座います。安祥でのご活躍。父から聞いています。」
太原雪斎「竹千代様は如何されています?」
戸田忠次「松平様がお亡くなりになられた事。まだぴんとは来ていないかもしれません。」
太原雪斎「(数えで)7歳では致し方ありません。むしろその方が良いのかもしれません。」
戸田忠次「……そうでありますね。ところで雪斎様。」
太原雪斎「如何されましたか?」
戸田忠次「水野も今川様の傘下に入られたのは本当でありますか?」
太原雪斎「そんなわけが無い。と言う顔をされていますね?」
戸田忠次「……はい。」
太原雪斎「安祥のいくさの後、朝比奈も岡部も。そして何よりも私もそうなのでありましたが……。」
帰りたくなってな……。
太原雪斎「織田信秀と和睦する運びとなりました。信秀は信秀で体調が思わしく無い事に加え、此度のいくさで三河を失いました。このまま戦いを続けても事態が好転しないと判断したのでありましょう。そして何より我らの手元には……。」
織田信広がいる。
太原雪斎「織田信広殿の返還を条件に信秀から様々な譲歩を引き出す事に成功しました。その中にありまして、最大の成果となりましたのが水野家が今川に加わると言うものでありました。これにより三河と知多は全て今川陣営になりました。」
戸田忠次「次は尾張となられるのでありますか?」
太原雪斎「これは信秀次第であります。ありますが、正直そこまでは考えていません。今は三河を落ち着かせるのに注力すべきと考えています。」
戸田忠次「雪斎様。1つお尋ねしても宜しいでしょうか?」
太原雪斎「何でありましょうか?」
戸田忠次「もし……。」
(今川義元の嫡男)竜王丸様が織田方の手に渡ってしまった場合、どのように対処されますか?
戸田忠次「条件が2つあります。1つは今川は織田に対し、譲歩は一切しない。もう1つは無事に帰還させる。であります。」
太原雪斎「大津に帰りたいのでありますか?忠次殿は人質ではありませんからいつでも。」
戸田忠次「いえ。そうではありません。」
太原雪斎「仮に今川が織田よりも弱く、織田に攻め立てられていた場合は従います。竜王丸様は人質として織田の下に置いておきます。」
戸田忠次「では今川が織田と均衡。むしろ有利な状況にあった場合はどのようにされますか?」
太原雪斎「武で以て対処します。ただ直接救出を目論むのは危険であります。ありますので、私でありましたら……。」
龍王丸と同等価値を持つ織田方の有力者に狙いを定め、捕獲します。




